大腸菌の毒素ががんを引き起こす仕組み

 日本人の大腸がん患者の半数程度に、大腸菌が出す毒素による遺伝子の変異が生じていたとの研究成果を、大阪大と東京大のチームが10日付の英科学誌に発表した。毒素が細胞の増殖に関わる遺伝子を傷つけ、がんを引き起こす。若い患者ほど遺伝子の変異が見つかる割合が高く、毒素を出す大腸菌の早期発見が、がんの予防につながる可能性がある。

 チームによると、日本の大腸がん患者は40年間で7倍になり、がんの中で最も多い。これまでの研究で、特定の大腸菌が出す毒素「コリバクチン」による遺伝子の変異が見つかる患者が、欧米などに比べて日本では多い傾向にあった。ただ、分析した人数が少なく、詳細は不明だった。

 チームは、日本人の大腸がん患者183人のがん細胞を解析。44・8%でコリバクチンによる遺伝子の変異が見つかった。変異はがん細胞の増殖や抑制に関わる複数の遺伝子で起きていた。40代未満で発症した患者では約7割で見つかり、若い人ほど割合が高かった。

 変異した遺伝子の分析から、発症の数十年前に最初の変異が発生していた患者もいたと判明した。