共通して求められるのは、災害後も暮らし続けられる住まい
2026年9月30日
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社総合技術研究所は、全国の20~89歳の男女2,678名を対象に「災害の多様化と意識調査」を実施しました。前回は、在宅避難における課題や不安について紹介しましたが、今回は年代別の結果に着目し、世代によって異なる防災への備え方と、世代を超えて共通して求められる住まいの条件をひも解きます。
※前回公表した調査結果はこちら
避難指示でも「在宅避難」希望が過半数。―備えの盲点は“生活用水”と“繰り返す余震”への対策
近年、地震や豪雨、台風などの自然災害が各地で発生しています。気象庁によると、全国の1時間降水量80mm以上の大雨の年間発生回数は増加傾向にあり、直近10年間(2016~2025年)の平均年間発生回数は、統計期間の最初の10年間(1976~1985年)と比べて約1.8倍に増加しています。また、停電や断水など、災害による生活インフラへの影響も大きな課題となっています。
こうした災害リスクが高まる中、災害が発生する前の備えに加え、発生後も生活を継続できる環境を整えておくことが重要です。今回は、自然災害による被害や避難等を経験し、現在も防災対策を行っている方々の備えを年代別にみていきます。調査結果では、20~30代は住宅設備やシステムを活用した対策、60代以上は備蓄や避難準備を重視する傾向がみられました。一方、在宅避難時に住宅へ求める条件では、水や電気の確保、災害に耐えられる住宅性能など、世代を超えた共通のニーズも明らかになりました。
| 調査サマリー ✔ 20~30代は“設備で備える”、60代以上は“備蓄で備える” 20~30代は停電対策システムや電気自動車、防災ガラスなど設備・システムを活用した備えが目立つ一方、60代以上では常備薬や燃料の備蓄、避難場所の確認などを重視する傾向がみられました。 ✔ 避難行動にも世代差。50代以上の半数超が「自宅に残る」と回答 避難指示が発令された場合、20代では避難所への避難が約半数を占める一方、50代以上では半数以上が自宅に留まると回答しました。 ✔ 世代を超えて求められるのは、「水・電気・安全」への備え 在宅避難時に住宅へ求める条件として、「飲料水の確保」「断水時でも使える水」「停電時の電力確保」「災害に耐える住宅性能」が上位に挙がりました。 ✔ 備蓄品や設備だけでなく、「住まい」も防災対策に 防災対策として、戸建住宅やマンションを挙げる回答もみられ、災害後も暮らしを継続できる住まいへの関心がうかがえました。 |
世代によって異なる防災への備え方
風水害への備えについて尋ねたところ、全世代で実施率が高かったのは、食料や飲料水の備蓄、ローリングストック、生理用品や非常用トイレなどの生活用品の備蓄、モバイルバッテリーの購入などでした。こうした備蓄を中心とした対策は、年代を問わず広く浸透していることがうかがえます。
一方で、特徴的な対策に着目すると、世代によって重視する備え方には違いがみられました。20~30代では、防災防犯ガラスや停電時にも電力や暖房・給湯を確保できるシステム、電気自動車、排水ポンプ、止水板など、住まいや設備を活用した対策の実施割合が比較的高い傾向にあります。
これに対し、60代以上では、常備薬や燃料の備蓄、家族との連絡方法や避難場所の確認、雨戸・シャッターの設置など、被災後の生活維持や避難を見据えた備えへの意識が高い結果となりました。
このように、風水害への備えとして共通して実施されている対策がある一方で、20~30代では住まいや設備を活用した対策、60代以上では避難や生活維持を見据えた備えへの意識が高いなど、備え方には世代による違いがみられました。
避難指示が発令された際の行動
災害時の避難行動にも、世代による違いがみられました。避難指示が発令された場合の行動について尋ねたところ、全体の46.2%が「自宅に残り、安全確認をする」と回答しました。また、20代では避難所へ避難する割合が48.0%と最も高い一方、50代以降では自宅に残る割合が5割を超え、年代によって避難行動にも違いがみられました。
自宅で生活を続けることを選択する人もいるなか、在宅避難を支える住まいの備えが重要になります。
世代差を超えて求められるものとは?
世代によって重視する備えには違いがみられる一方、在宅避難時に住宅へ求める条件には共通点があります。最も多かったのは「飲料水が確保されていること」の67.4%で、「食料や簡易トイレなどの備蓄があること」が62.5%、「家屋が倒壊・破損しない」が62.2%、「断水時でも水が使えること」が60.5%と続きました。
また、「停電しても自宅で電気をまかなえること」は49.4%にのぼり、約2人に1人が停電時の電力確保を住宅に求めていることも分かりました。
世代によって重視する備え方は異なるものの、『水を確保できること』『電気を確保できること』『災害に耐えられる住宅性能を備えること』が、住宅に共通して求められていることがうかがえます。
防災対策として購入したもの・今後購入したいもの
防災対策として購入したものや今後購入したいものについて尋ねたところ、食料や飲料水などの備蓄品に加え、大容量モバイルバッテリー、蓄電池、太陽光発電システム、電気自動車などが挙げられました。
また、戸建住宅やマンションを挙げる回答もみられました。災害への備えは、備蓄品や設備だけでなく、災害後も暮らしを継続できる住まいそのものを選ぶことも、一つの対策として認識されていることがうかがえます。
災害後も暮らし続けられる住まいへ
今回の調査では、防災への備え方や避難行動には世代による違いがみられた一方、災害後も自宅で暮らし続けるために、水や電気を確保し、災害に耐えられる住まいを求める意識は、世代を超えて共通していることが分かりました。
国土交通省は、自然災害時等の居住継続・生活継続が可能な住宅ストックの形成を促進するため、「2050先導型住宅推進事業」を実施しています。大和ハウス工業が提案する「水・電気自立を実現する全天候型3電池連携レジリエンス住宅」も、その採択プロジェクトの一つに選定されました。同プロジェクトは、停電時の電力と給湯、断水時の飲料水を確保するとともに、繰り返す地震や台風、飛来物などに備え、災害発生後も自宅で生活を継続できる住まいを目指すものです。
大和ハウスの「災害に備える家」
大和ハウスでは、停電・断水・余震・台風など、災害時のさまざまな不安に備え、災害発生後もできる限り日常に近い暮らしを継続する住まいとして「災害に備える家」を提案しています。
停電への備え
調査では、「停電しても自宅で電気をまかなえること」が、在宅避難時に住宅へ求める条件の一つに挙げられました。
大和ハウスの「全天候型3電池連携システム」※1は、太陽光発電、エネファーム、全負荷型蓄電池を組み合わせ、雨天でも約8日間※2の電力と暖房・給湯を確保します。
※1 太陽光発電・家庭用燃料電池(エネファーム)・蓄電池を連携させた住宅向けシステムとして業界初(2019年2月当社調べ/プレハブ住宅業界)
※2水道・ガスの供給支障が発生していない場合。エネファームは連続運転8日間で停止します。
断水への備え
在宅避難時に住宅へ求める条件では、「飲料水が確保されていること」が67.4%で最も多く、「断水時でも水が使えること」も60.5%となりました。
「飲料水貯留システム」は、普段利用している水道水を活用しながら、断水時にも家族4人分の飲料水を3日分確保し、在宅避難時の暮らしを支えます。
台風・飛来物への備え
高耐久軽量屋根材「ROOGA(ルーガ)」や防災防犯ガラスなどを採用し、台風時の飛来物によるガラスの破損や建物被害の軽減を図ります。
繰り返す地震への備え
災害後も自宅で暮らし続けるためには、大地震の揺れに耐えるだけでなく、その後に繰り返す地震や余震による建物の損傷を抑えることも重要です。
「持続型耐震構造」※3には、地震エネルギーを吸収する「Σ(シグマ)形デバイス」を搭載した、独自のエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」を採用しています。実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」で実施した加震実験※4では、175kine※5(震度7相当)の地震波を4回連続で加えた後も、新築時の耐震性能を維持することを実証しています。
※3 軽量鉄骨造1・2階建て商品「xevoΣ」で標準。重量鉄骨造3階建て商品「skye3」は制震が標準です。
※4 国立研究開発法人防災科学技術研究所の実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」にて、2013年9月に「xevoΣ」の大規模な加震実験を実施しました。
※5 kine(カイン)とは、建物に破壊力をもたらす地震波の速度。175kineとは、物体が1秒間に175cm移動する速度です。
大和ハウスは、停電や断水、台風、繰り返す地震などの災害に備える「災害に強い家づくり」に向けた研究開発を続け、災害後も安心して暮らしを継続できる住まいの普及を通じて、安心・安全な社会の実現に貢献してまいります。
<調査概要>
• 調査名称:災害の多様化と意識調査
• 調査期間:2025年9月26日~9月29日
• 調査手法:インターネット調査
• 調査対象:全国20~89歳の男女(被災経験者かつ現在対策実施者)
• 回答者数:2,678名(事前調査 20,070名より抽出)
*****************************















