三ノ池乗越から望む御嶽山の立ち入り規制区域。中央に二の池ヒュッテが写る=今年5月24日、岐阜・長野県境(髙岡ゆりさん提供)

 岐阜・長野県境にそびえる御嶽山(3067メートル)の噴火警戒レベルが今年2月、「火口周辺規制」の「2」に引き上げられた。想定火口域の拡大と合わせて山頂の剣ケ峰や火口域から約1キロ内は立ち入り禁止になり、今季開業の見通しが立たない山小屋も。7日に岐阜県下呂市で山開きが予定される中、山小屋関係者は火山活動の動向を注視している。

 「コロナ(ウイルス感染)も落ち着いて、今年こそ普通に営業できると思っていたが…」。下呂市小坂町の山小屋「二の池ヒュッテ」の経営者、髙岡ゆりさんはため息をつく。

 規制区域にかかる4軒(休業中含む)の山小屋の一つで、新たな想定火口域の北約800メートルに位置する。噴火4年後の2018年、旧「二の池新館」を譲り受けて開業し、コロナ禍でも昨年の週末は満室になる日が多かったという。

 だが、警戒レベルの引き上げと想定火口域の拡大で規制にかかり、開業を準備する時期ながら山小屋に近づけない。やむなく先月24日、規制箇所の白竜避難小屋の手前から遠望した。望遠レンズ越しには、冬を越した建物に大きな破損は見られなかったという。

 「切ないけれど、あれだけの被害が出た山だから慎重になるのは当然。安全のためなら仕方がない」と受け止める。長野・木曽町側の開山式(7月1日)の後に開けたいが、先行きは見通せない。

 岐阜県側の飛騨頂上(2811メートル)にある下呂市小坂町の「御嶽五の池小屋」は規制外で、先月20日から金~日曜の週末営業を始めている。「春の登山客の動向は予約も含め昨年より多いぐらい」と管理人の市川典司さん(51)は言う。

 利用客で剣ケ峰に向かう登山者は多くないといい、影響は限定的とみる。今月上中旬にかけては、三ノ池に積もった雪が周囲から解けて竜の瞳のようになる「ドラゴンアイ」の出現で登山者の増加が見込まれる。早期の収束を期待しつつも、「御嶽は火山。上手に付き合っていくしかない」と話す。

 御嶽山は今年2月23日、1時間に80回の火山性地震が確認され、警戒レベルが引き上げられた。気象庁によると、地震は減り、より震動が長い火山性微動も3月19日以降観測されていない。

 その中で同庁が注目しているのはマグマや熱水の上昇をうかがわせる「山体膨張」で、人工衛星の観測から、2月下旬以降、わずかに続いている可能性がある。「停滞気味になってきているが、注意深く見ているところ」(火山監視課)という。3日の解説情報では「火山活動はやや高まった状態」と引き続き警戒を呼びかけた。