外国人観光客向けのレストランで、テーブルを消毒する藤井正博さん=大野郡白川村鳩谷

 新型コロナウイルスの水際対策として停止していた外国人観光客の受け入れが10日、再開される。添乗員が同行するパッケージツアーのみだが、岐阜県内の観光地、高山市や大野郡白川村の関係者には「やっと町に活気が戻る」と期待の声が広がる。一方、本格的な回復までは時間がかかるとの慎重な声も。さまざまな思いが交錯する中、2年以上にわたってほぼ閉じてきた観光地が、いよいよ再始動する。

 「海外からの問い合わせは増えた。明らかに動き始めた感がある」。2021年7月に開業した高山市花岡町の「ホテルアラウンド高山」マネージャーの後藤孝浩さん(41)は声を弾ませた。

 インバウンド(訪日客)を当て込んだ開業だったが、オープン時期とコロナ禍が重なった。10日以降はマスク着用のルールを徹底してもらえるかなどの懸念はあるが、案内表示を一部変更したり、翻訳機の導入を検討したりして、準備を整えている。後藤さんは「対策をしっかり取り、お客さまを迎えたい」と力を込めた。

 コロナ禍で高山市の観光業は大きな打撃を受けた。感染拡大前には年間約60万人の外国人宿泊者を集めていたが、21年は19年の99・9%減となる約3千人にまで落ち込んだ。飛騨高山旅館ホテル協同組合(高山市)によると、市内では20~21年に経営難や後継者不足などを理由に八つの宿泊施設が廃業した。

 回復にはまだまだ時間がかかると懸念する声もある。20年3月から休業している、世界遺産・白川郷合掌造り集落近くの外国人観光客向け飲食店「156レストランラッキー」の支配人藤井正博さん(59)。入国者の上限が2万人とされていることや、減便により海外では航空券が手に入りづらいこともあり「すぐには戻ってこないだろう」とみる。

 コロナ前は団体予約のみを受け付け、年間3万人以上が訪れていたが「ゼロになった」。受け入れ再開の兆しが見えた今年4月、2年半ぶりにタイ・バンコクで現地の旅行代理店に営業して回ったが、現地担当者から「日本ではつぶれたホテルや飲食店、観光施設があり、プランを作り直さなければいけない」と渋い声をよく聞いたという。10日以降に一気にV字回復する展望は乏しく、「気長に待ちたい」と藤井さん。テーブルの消毒の手順を確認するなど、粛々と準備を進める。