天井から伸びる木製の手。どこにでも手が届く身体への願望が表れている。持つのは、波の形に変化する過程の鮎
質実とした立体格子が組まれた館内。円空仏がターンテーブルを回すという趣向で、ダンスパーティー会場に様変わりした(魚眼レンズ使用)
円空が彫った仏像を3Dスキャンし、デジタル映像に変換した作品。波のようにぐにゃりと曲がる
「伝統建築の空間的な豊かさが、手長・足長が存在すると空想できる余裕を生んだ」と語った落合陽一さん=いずれも高山市大新町、日下部民芸館

 立体格子を突き抜け、天からすっと伸びる木製の長い手と足は、メディアアーティスト・落合陽一氏の作品の一つ。「これほど高さのある空間は、美術館にはちょっとない」。町家建築の極北といえる日下部民芸館だからこそなし得た表現だ。

無料クイズで毎日脳トレ!入口はこちら

 地元の若者と飛騨を訪ね歩き、木に囲まれた当地で育まれた文化とは何かを考え、形にした。民芸運動の父と呼ばれる柳宗悦の声をサンプリングした音楽が流れ、3Dデータを基に木工職人が削り出した円空仏がターンテーブルで回る。異なる時代のものが同じ空間に溶け込む。

 


 冒頭の作品のモチーフは飛騨の伝承にある手長・足長。どこにでも手が届き、どこへでも行ける身体。コロナ後、ネットを通じてあらゆるところへつながる動きを加速させた私たちとリンクする。「哲学として捉えがちな民芸を、体で感じてほしい」。少し先の未来の民芸に触れた気がした。