二つの鳥居の間を走り抜けるキハ85系の特急「ひだ」14号=下呂市金山町中津原
両面宿儺討伐にまつわる伝承が残る下原八幡神社=下呂市金山町中津原

 7月1日に新型ハイブリッド特急車両HC85系が登場するJR高山線。岐阜県下呂市金山町中津原には、神社の参道を横切る踏切があり、鳥居の前を列車が通過していく風景が見られる。

 この踏切は、下原八幡神社の参道にある「八幡踏切」。神社を訪れると、うっそうと茂る森林に包まれる。下原八幡神社の森・社叢(しゃそう)は、市の天然記念物。境内の案内看板に、神社は約1600年前の創立とある。その起源には、アニメ化された人気漫画「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」に同名キャラクターが登場して注目を集める「両面宿儺(すくな)」の討伐にまつわる言い伝えが残る。飛騨へ両面宿儺討伐に向かった難波根子武振熊(なにわのねこたけふるくま)が、同地で大岩の上に八幡様を勧請し、勝利を祈願したとされている。この岩は根子岩と呼ばれる。

 肝心の踏切があるのは、二つの鳥居を通る参道の途中。高山線の起点となる岐阜駅からの距離は68・398キロ。

 鉄道の踏切は、遮断機や警報機の有無で種類が分かれる。この参道にある踏切は、警報機も遮断機もない第4種踏切だ。列車が来たかどうかは、目視か遠くから近づいてくる音で判断するしかない。線路内への立ち入りは言語道断として、踏切に近寄り過ぎるのも安全上問題がある。いつ列車が来るか分からないという前提で行動することが必要だ。

 待っていると、列車が近づいてきた。高山方面から名古屋方面に向かう特急「ひだ」のキハ85系が、エンジンをうならせながら走り抜けていった。新型車両のHC85系は7月1日から高山-名古屋間の2往復で運行を開始する。これまで「ワイドビューひだ」として親しまれてきたキハ85系もしばらくは残るが、引退の時期は刻々と迫っている。沿線には撮影の人の姿を多く見かける。安全に最大限に留意し、互いに配慮しながらキハ85系の雄姿を見送りたい。

 神社の周囲には、江戸時代に飛騨川(益田川)の上流から流された木材をせき止め、幕府の役人が確認した「飛州下原中綱場」や、通行人などを確認した「福来口留番所跡」などの史跡もある。

 周辺は道路が狭く、路上駐車をしないなどマナーを守って楽しみたい。

【案内】

 下原八幡神社 住所=下呂市金山町中津原940。交通=JR飛騨金山駅から北へ約1.6キロ。徒歩約25分。