江戸ッ子柳ケ瀬店復活を決めた中村道明社長。「HUKIN」スペース前のガラス戸は開放もできる=岐阜市柳ケ瀬通
「HUKIN」を運営することになった井藤麻紀さん。「広く地域の方々に楽しんで、喜んでもらいたい」と話す=岐阜市寺島町、ス・ミズーラ

 1915年創業の服地・手芸専門店「江戸ッ子」。2007年に閉じた創業の地・岐阜市柳ケ瀬通の店舗を7月に復活させる。店名はそのままに、柳ケ瀬商店街の活性化を考える若者らがプロデュースした「まちの家庭科室」を併設し、ハンドメード文化の発信地として生まれ変わる。

 江戸ッ子は柳ケ瀬商店街の目抜き通りで創業。現在は山県市など県内外に4店舗を展開している。3代目社長の中村道明さん(74)は「戦後の柳ケ瀬には百貨店や映画館が多数集まり、休日ともなると商店街も店内も人であふれ地面が見えなかった」と全盛期のにぎわいを振り返る。柳ケ瀬店閉店後は、跡地に「柳ケ瀬あい愛ステーション」が入居するも20年に閉鎖し空き店舗となっていた。今回、羽島店の閉店に当たり、移転先として柳ケ瀬店の復活を決めた。

 きっかけは、岐阜市主催の「リノベーションスクール@岐阜」。中村さんから空き店舗の活用について相談を受けていた建築設計事務所「ミユキデザイン」取締役の大前貴裕さん(47)が提案し、受講生がプランを制作して発表した。

 店舗の約6分の1の43平方メートルをハンドメード体験スペースに。貸しミシンや作業台、閲覧自由の型紙ライブラリーなどを設け、スタッフのアドバイスを受けながら気軽に立ち寄って手芸を楽しめる。「まちの家庭科室 HUKIN(フキン)」と名付けた。

 運営を任されたのは岐阜市寺島町にオーダーメード洋服店「ス・ミズーラ」を構える井藤麻紀さん(52)。運営者を探していた大前さんからプランを聞き、本業の洋裁でまちづくりを担えると即決した。初心者向け手芸教室、子ども向けワークショップ、アパレルブランド設立支援などアイデアは尽きない。「ハンドメードを通じて人がつながれる場所に」と思いを語る。19日はサンデービルヂングマーケット開催中の江戸ッ子柳ケ瀬店の店舗前にミシンを置き、デモンストレーションを行う。

 かつて商店主らでつくる柳ケ瀬本通会長を務めた中村さんも、サンデービルヂングマーケットの活況ぶりから、ハンドメード文化が現代の若者たちに根付いているのを目の当たりにしている。「布や手芸用品がネットで買えてしまう時代に、店に来れば楽しい体験ができると示したい」と、来月17日のオープンに向け目を輝かせる。目指すのは、娯楽と小売りが混然となって人々を魅了した全盛期の柳ケ瀬だ。