ぎふ柳ケ瀬夏まつりで上映される映画「逆光」のワンシーン(©2021『逆光』FILM)
試写会で舞台あいさつをする須藤蓮さん(右)と水野琢朗さん=岐阜市日ノ出町、ロイヤル劇場

 「ドライブ・マイ・カー」で米アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた濱口竜介監督が「原点」と語り、注目を集める岐阜市の柳ケ瀬商店街が今夏、映画一色に染まる-。柳ケ瀬で7月下旬、3年ぶりに開催される「ぎふ柳ケ瀬夏まつり」のテーマが、「映画祭」に決まった。映画館のロイヤル劇場や岐阜シネックスに加え、野外上映を企画し、コロナ禍に直面する柳ケ瀬を再び盛り上げる。

 「柳ケ瀬は元々映画の街。古いものを大事にしながら夏まつりを現代風にアレンジしたい」。夏まつりを主催する岐阜柳ケ瀬商店街振興組合連合会(柳商連)の事業委員長、水野琢朗さん(33)は、こう思いを語る。

 柳ケ瀬の映画館は最盛期の1950~60年代には12館あったが、90年代の複合映画館「シネマコンプレックス(シネコン)」の郊外進出に伴い衰退。現在は2館のみとなっている。夏まつりは例年、盆踊りや浴衣ショーなどを行っていたが、久しぶりに再開する今年は柳ケ瀬に残る映画文化に着目し、映画館やまち全体で作品を上映することにした。

 メインの上映作品は「逆光」で、俳優やモデルとして活躍する須藤蓮さん(25)の監督デビュー作。70年代、真夏の広島県尾道市を舞台に大学生の青春を描いた。昨年7月から尾道市を皮切りに京都や東京、名古屋など全国8都市で上映されている。

 「逆光」のスタッフが岐阜で上映できる場所を探していたところ、岐阜新聞社と岐阜シネックスの共同企画「岐阜新聞映画部」と出合い、柳ケ瀬での上映が実現した。須藤さんは取材に「柳ケ瀬には70年代の空気や薫りが残っていて、映画の時代ともぴったり合う」と手応えを示す。

 夏まつりの上映作品は「逆光」を含め、5作品程度を予定している。野外上映では通りにスクリーンを設置して柳ケ瀬の雰囲気に合わせた作品を上映する。70年代の古着や、昭和のレトロスイーツを販売するコーナーのほか、劇団が寸劇を披露する場も設ける。

 4日夜はロイヤル劇場で関係者向けの試写会があり、約60人が楽しんだ。柳商連の林亨一理事長(55)は「ドライブ・マイ・カーの受賞で、柳ケ瀬に流れが来ている。映画をきっかけに、まちおこしをしたい」と意気込んだ。