高い水準が続くガソリン価格を示す看板を見つめる和田隆社長=21日、岐阜市橋本町、ENEOSドクタードライブ岐阜駅前店

 7月10日の投開票に向け論戦が繰り広げられている参院選。さまざまな課題に直面する地域で、国の支えや政治の決断を望む岐阜県民の声に耳を傾け、今求められることを有識者に聞いた。

 「消費者心理として、昨今の物価高に対して生活防衛意識が働くのは必然。でも苦しいのは、私たち小売り事業者も同じ。1年近く利益ぎりぎりの状態で闘っている」。レギュラーガソリン1リットル=179円。フルサービスのガソリンスタンドの店先に掲出している価格看板を眺めながら、岐阜日石(岐阜市東金宝町)の和田隆社長(62)は、ため息交じりに口を開いた。「社会インフラを支えるという使命感だけでは、食っていけない時代になった」

 岐阜日石は県内22カ所にENEOS(エネオス)サービスステーションを直営で展開する。今年のレギュラーガソリン販売量は、コロナ禍で幾度も緊急事態宣言が発出され、車の利用控えが目立った昨年比でほぼ同じ状態。変わったのは1度の給油量。極端に減っているという。和田社長は「物価高で消費者の財布のひもは、一層固くなった」と実感を込める。

 経済産業省によると、20日時点のレギュラーガソリンの1リットル当たりの全国平均小売価格は、173円90銭。政府は今年1月以降、石油元売りへの補助金で価格高騰に対応。現在は補助額を増やし、弾力的な対策を続けている。和田社長も「補助金がなかったら、1リットル210円に到達していただろう。欧米と比べて抑制されているのは事実」としながらも「元売りに補助する形が、業界全体への支援になるかというと疑問がある。町のガソリンスタンドが収益を高められる体質にするためには、業界の構造を直視し、政策による最適な分配をしてほしい」と訴えた。

 物価高はガソリンのみならず、輸入の商品、原燃料を扱う業種を中心に幅広く影響が出ている。ウクライナ情勢や、コロナ禍の中国などでのロックダウン(都市封鎖)による物流の混乱に円安も加わり、日銀がまとめた5月の企業物価指数(速報値)は対前年同月比で9・1%上昇した。

 物価高に伴う中小企業の景況感の悪化も顕著だ。岐阜財務事務所の県内法人企業景気予測調査によると、1年前と比べて景況感が上昇したと答えた企業の割合から下降したとした企業割合を引いた全産業の景況判断指数は、ほぼマイナスが続いている。十六総合研究所の企業動向調査でも、今年4~6月期の予想値は同様の傾向が出ている。担当者は「企業の売上高純利益率が低下傾向にある。仕入れ商品や原材料の価格高騰が企業の財務を圧迫し、景況判断指数を低下させている。賃上げ促進税制の拡充や消費税の一時的引き下げ、ガソリン税のトリガー条項の凍結解除といった即効性のある対策が必要だ」と語った。