倒れた大湫神明神社の大杉の年輪を木版した岐阜和傘=8日午後、岐阜市湊町、和傘CASA

 昨年7月の豪雨で倒れた大湫(おおくて)神明神社(岐阜県瑞浪市大湫町)の樹齢670年の大杉を使って、岐阜市の県郷土工芸品「岐阜和傘」の職人が雨傘を製作した。同市湊町の岐阜和傘専門店「和傘CASA(カーサ)」が企画から携わり、大杉の切り株を美濃手すき和紙に木版し、細かい木目を浮かび上がらせた。同店で販売して売り上げの一部を地元の団体に寄付し、地域のシンボルの記憶を後世に伝える。

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 大湫町の住民グループ「大湫大杉を応援する若手有志の会」がクラウドファンディングで、倒木による被害を受けた境内などを直すため、資金を募っていた。同店を運営するNPO法人ORGAN(オルガン、同市湊町)が取り組みを知り、出資者への返礼品として大杉を使って和傘を作ることを提案した。

 幸草紙工房(美濃市保木脇)が美濃手すき和紙に、大杉の切り株で模様を付けた。岐阜和傘職人の河合幹子さん(33)が和傘の骨に和紙を自然な木目になるように貼り付けて仕上げた。

 和傘は長さ76センチで、広げると直径110センチになる。白い紙に黒色で大杉の年輪が浮かぶ力強いデザインとなった。白い和紙は時間がたつと黄色く変化し、だんだん大杉の色に近づいていくという。河合さんは「和傘に姿を変えても、大杉が立っていた頃の面影を感じてもらいたい」と話した。

 返礼品の和傘はすでに出資者に贈られており、同店で同様のデザインの3本を限定販売している。1本16万5千円。大杉の保存、活用を目指す「大湫町コミュニティ推進協議会」に売り上げの1割程度を寄付する。

 店長の河口郁美さん(41)は「大杉は大湫町の人たちにとって大切な存在。少しでも保存のお手伝いができたら」と語った。

 大杉は3日から、同神社で保存、活用するための切断工事が始まっており、根元部分を境内に展示するほか、バイオリンやギター、テーブルなどの素材に活用される。