岐阜県のNIEを展望するNIEアドバイザーの(左から)奥田宣子さん、原田結花さん、細江隆一さん=岐阜新聞本社

原田結花・高富中教諭 実践の学び、小中連携
細江隆一・美濃加茂西中教諭 意見発表する場、反響
奥田宣子・富岡小教諭 「書く力」は生きる力に

 日本新聞協会がNIEアドバイザーを認定して15年。現在は全国の小中高校、大学、教育委員会、図書館などの教師ら252人が活動している。県内のNIEアドバイザーは、原田結花教諭(山県市立高富中)、細江隆一教諭(美濃加茂市立西中)、奥田宣子教諭(山県市立富岡小)の3人。それぞれ20年以上、新聞を教材にした授業を積み重ねてきた。2019年の年頭に当たり、岐阜県のNIE活動をどのように展望しているか。岐阜新聞社で開いた鼎談(ていだん)の模様を14日と21日の2回に分けて紹介する。

 -岐阜県のNIE推進へ向け、新年の抱負をお願いします。
 細江 今年は、NIEの実践に取り組む後輩の育成に力を注ぎたい。わが校では、NIEに限らず、生徒個々に自信を付ける取り組みが途切れないよう、若い先生に引き継いでいる。せっかくNIEを実践しても、異動すると活動が途切れてしまうという先生も少なくないため、どの学校の新聞も活用できるように、学校や県全体のNIE活動の推進に尽力したい。

 奥田 私の学校では昨年、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果から書く力が弱いと分かり、2学期に毎朝10分の「ドリルタイム」で新聞を活用して書く力を付けた。書くことに抵抗がなくなった子どもが増え、読み返して推敲(すいこう)する力も付いてきた。書く力を子どもの時から身に付けることは、人生を生きる力につながる。読むことは心が豊かになり、書くことで思考が深くなる。そういう取り組みを続けたい。

 原田 今年は、小学校のNIE実践の学びが中学校でもつながるようにしたい。現在、担任をしている特別支援学級の生徒が新聞記事の校内掲示を続けているが、通りがかった生徒らが足を止めるようになった。今年は、掲示に意見を書いてもらえるようにして双方向にする。また、外国籍で日本語の授業が難しい生徒に、新聞を使って生活の中で使う言葉や漢字を教えているが、新聞を通して、社会を学ぶ手法を考えていきたい。進路指導や地域を巻き込んだ活動にも力を入れていく。

 細江 新聞は情報を得る場であると同時に、意見を発表する場でもあると思う。意見を書くだけでなく、掲載されることで自信になり、反響も大きい。一緒に取り組んできた同僚が、転勤先の中津川市でも活動を継続しているのを知ってうれしかった。掲載記事を囲んで家族が話をする、そんなファミリーフォーカスへと実践がつながることに期待したい。

 奥田 毎日のドリルタイムで新聞を使うため、先生方に「新聞読む子 正答率高く」という記事を提示して話を進めた。慣れない先生もいるので、トピックスや興味を引く記事を選んで、キーワードを紹介したり、どんな見出しがいいかを考えるなど、具体的な内容を毎日提案し、準備も行った。

 原田 小学校で6年生を担任したとき、生活記録に代えて、記事を選んでコメントを書く「新聞日記」を実践した。最初は、記事の内容を書いていた子どもが、次第に自分の意見を書くようになり、最後は主張になった。毎日の積み重ねで、読む力が付いた。その子たちは、全員が将来の夢を持ち、自己肯定率100%だった。NIEの可能性は本当に大きい。