新聞を読んで考えを深める新聞部員=山県市高富、高富中学校

山県市立高富中教頭 奥田宣子

 山県市立高富中学校新聞部は、本年度から同市立伊自良中学校新聞部との合同部活動となり、部員たちは新聞を通して夢のある生き方を考えたいと活動を始めた。

 4月24日に高富中で開いた合同部活動では、岐阜新聞の連載企画「いじめと向き合う第4部 子どもたちを守るために③」の記事を取り上げた。記事は、学校活動のグループ「班編制」にスポットを当てた内容。生徒らは、記事をきっかけに学校生活の「当たり前」を問い直した。その結果、自分たちが目指す学校生活を熟考し、新たな課題の掘り起こし、提案につなげた。何人かの意見を紹介したい。

 入部したばかりの1年の市原幸明さんは、「僕はこの記事を読んで、班にはメリットとデメリットがあることが分かった。班のメリットは、いつも同じメンバーと話し合えることと班の仲間と友だちになりやすいこと。デメリットは、記事にある通り、いじめを激化させる転機になるということ。それは、班で孤立状態になると、相談することが難しくなったり、一人だけ嫌な思いをしたりする人が出てくると思うから。でも僕は、班をなくすのに反対です。その理由は、いじめの原因は班だけにあるとは思わないからです」と素直な思いを書いた。

 3年の関口春琉(はる)さんは「最近いじめ問題が大きく取り上げられ、いくつもの対策がとられている。生活班廃止というのは、リーダーだけの学級にならないように、生徒一人一人の考えを反映できるシステムだと思った。しかし、僕の体験として何カ月もの間、同じ班で生活することで、結束感や団結力を味わったことがある。班を固定化しないシステムだと活動ごとにいろいろな人と付き合えるメリットはあるが、一つのグループとして成長していく喜びは感じにくいのではないかと思う。僕は、生活班は作るべきだと思う。でも、生活班を変える頻度を多くし、学級全員で班を作るようなシステムをとることで、いじめをなくす+団結力を高めることができるのではないかと思う。僕は、リーダーだけで学級のことを決める機会について、一人一人の考えを意識していける人になりたいと思う」と述べた。

 また、3年の林優吾さんは「いじめをなくすために班をなくすという方法は、確かに班員とのトラブルを防ぐ上では有効な方法であることは確かだ。でもだからといって、いじめが完全になくなるわけでもない。班というと、学級の活動をスムーズに進めるためや少人数のグループを作ることで、孤立することなく楽しく活動するために作られている。でも、社会の縮図が学級であるように、班も学級の縮図だといえる。学級はただ班の人数が多くなったようなもので、班をなくしても学級という決まった集団に入っているのだから、いじめは起きてしまう。魚の世界で例えると、ある一定の種類の魚を水槽に6匹入れておく。すると1匹が仲間外れになってしまう。そして、30匹ほどの魚を同じように水槽に入れると、また数匹の魚が仲間外れにされたり、いじめられたりする。このような実験があった。人間社会でも同じだと思う」と、新たな課題を投げかけた。