タブレットを使って記事を調べ、作文を書く生徒=加茂郡川辺町中川辺、川辺中学校

川辺町立川辺中学校教諭 細江隆一

 「外では画面、家では紙面」。岐阜新聞の紙面で目にした言葉だ。意味は「戸外ではスマホなどの画面で、家では紙媒体の紙面でニュースを見よう」だろう。うまいこと言うな、と感心したのでいまだに覚えている。

 実際私も、「外では画面、家では紙面」を実践している一人だ。戸外ではスマホを持ち歩くので、最新情報はスマホで検索して手に入れる。ニュースアプリで得た情報が不確かだと思われるものは新聞社のサイトで確認する。一方、自宅に届く紙媒体の新聞紙は、毎朝必ず目を通す。午前5時からの15分間が私の「新聞タイム」であり、情報を得るための大切な時間となっている。

 このように、スマホなどの機器で新聞のサイトやアプリに触れる一方、紙媒体の新聞に触れることを「ハイブリッド方式」というと、NIEの全国大会の発表で知った。いまや紙の新聞を購読する人は年々減少傾向にある。それに対応するように、各新聞社は紙媒体だけでなく、サイトやアプリでニュースが得られるようにシステムを整えている。新聞社としては少しでも読者を増すための手段なのだろうが、教育界としてもこのシステムはありがたい。文部科学省の提唱する「GIGAスクール構想」の一環として子どもたちへ一人一台、タブレットが貸し出されているからだ。

 紙媒体の新聞を生徒一人一人にそろえるのは手間がかかるが、タブレットだったらその手間は要らない。新聞社のサイトを紹介し、そこにアクセスするように指示をすれば、用は足りる。わが校でも調べ学習の際には、タブレットを使用して調べるようにしているが、新聞社のサイトを紹介するのは定番となっている。さまざまなサイトがある中で、「確実性」「信憑(しんぴょう)性」「正確性」は新聞の情報で得られることだからである。

 現在NIEを進める際、私は「ハイブリッド方式」を目標にしている。つまり、紙媒体とタブレットの両方から情報を得て、考えさせる授業を目指している。メインは紙媒体だが、必要に応じてタブレットに切り替え、調べ学習をする方法である。紙媒体、情報機器、それぞれにメリット、デメリットがあり、どちらが良いと思うかは人によって違う。アンケートによれば、読書にしても「紙媒体が良い」という人は6割以上存在するが、「電子書籍が良い」も3割近い人が支持している。この傾向は今後も継続するだろうし、デジタル化の波が押し寄せていることを考えると、「電子書籍が良い」という人の割合が増加するのは間違いない。もはや「新聞は紙媒体でなければならない」とは言えない時代に入っていることは明白な事実だ。

 教育者として、子どもたちには時代のニーズに合わせて情報を獲得する手段を選択させるのが重要だと思う。その結果が「ハイブリッド方式」の採用。自己選択能力、自己判断能力は新学習指導要領でも育成が叫ばれている。とすれば、情報を手にする場合も、「紙媒体、情報機器のどちらか片方を全員に使う」ではなく、「自分に合った方で情報を収集しよう」と課題を設定し、生徒に選択させるのがベストなのだろう。ほとんどの家庭がWi-Fi(ワイファイ)機器を設置している時代。教員が時代に取り残されないように、NIE自体も「ハイブリッド方式」へと変化していく必要に迫られていると感じる。