東日本大震災で被災1週間後から大船渡市立第一中学校の生徒会有志が発行している新聞「希望」の展示=岩手県盛岡市、県民情報交流センター・アイーナ
全国各地のNIEアドバイザーが討議した内容をまとめる関口修司NIEコーディネーター=同

 今年もNIE全国大会に引き続いて、岩手県盛岡市の大会会場で開かれた第12回全国NIEアドバイザー会議に出席した。参加者は44人。例年数が増えていると感じる。教諭はもちろん校長、教頭、主幹教諭の先生方、さらに図書館司書と、さまざまな立場からお話が聞けるのも魅力の一つである。実践の事例やアイデアなども学べるので、参加するのが通例となっている。

 今年の話し合いのテーマは「新学習指導要領と新聞活用」。社会に開かれた教育課程や「主体的・対話的で深い学び」を、NIE実践の中でどのように具体化するのか、を問われるテーマだった。

 グループ討議が中心となったが、私のグループで焦点となったのは以下の3点だった。

 ①新聞の良さを実感するためにも、生徒はもちろん教師も新聞に触れる機会をもっと増やしたい。「情報を得るための新聞」だけでなく、「ライブラリーのための新聞」としても活用したい。東日本大震災で被災した大船渡市立第一中学校の生徒会有志が1週間後から発行している『希望』は、まさに「ライブラリーのための新聞」だった。

 ②キーワードで検索するとそれに関連する記事がさっと取り出せるようなシステムを、全学校に入れてほしい。それには行政がNIEに積極的に動くと良いが、現状では難しいかもしれない。私立高校ではそれが実現しているところもある。

 ③教育学者の斎藤孝先生が、大会の記念講演「新聞力と復興」の中で「毎週月曜日の朝は、NIEタイムを導入してほしい。そうすれば、日曜日は新聞記事を話題とする家族の対話が生まれる」とおっしゃっていた。個人ではなく、学校としてこうした取り組みを行いたい。

 中でも勉強になったのは、神奈川県の「学校図書館スーパーバイザー」の方の報告だった。神奈川県には「ニュースパーク(日本新聞博物館)」があるので、地元の学校はそこと連携しながらNIEを進めている。この博物館には毎日全国各地の新聞が届くので、それを活用できるメリットがある。また、体験プログラムや見学も充実している。新聞社や販売店だけでなく、こうした施設との連携も有効であることを教えられた。

 新学習指導要領とNIEの関連は、グループ討議をまとめた関口修司日本新聞協会NIEコーディネーターの話でも指摘されていた。国語科にも「情報の扱いに関する指導の改善・充実」が入った。新聞はその情報を得る一つの手段であり、信用性、信頼性などにおいて有効な媒体である。今後もNIEの実践を積み重ね、岐阜県の教育の質の向上に努めたい。