新聞写真の特徴を仲間と発表し合う4年生。「対比」の表現を使って意見を交わした=関市市平賀、関市立富岡小学校
読みたくなる見出しを話し合いながら選ぶ児童ら=同

◆ラグビーや台風被害で活発に

 NIE実践校として新聞活用に取り組んでいる岐阜県関市市平賀の関市立富岡小学校の4年生が、新聞に掲載された写真を活用して、「対比」の表現を学ぶ国語の授業を行った。児童らはこれまで、教室内の「新聞は宝の山」というコーナーに取りためてある新聞を手に取って、社会への関心を高め、紙面を比べて読む力を身に付けてきた。グループ学習では、賛成反対の両方の意見を活発に交わしながら、互いの気付きを理解し、グループの意見をまとめていった。

 4年2組の担任青山奈緒教諭は、書き出しや文末表現を手がかりにして段落相互の関係を読み取る授業計画で新聞を活用した。事前にさまざまな新聞から、児童らが理解しやすい写真8枚を選び、記事に合わせて教材として準備。教科書の説明的文章「アップとルーズで伝える」を7時限にわたり学習した後、新聞を使った活動に取り組んだ。

 児童らはラグビー選手を大きく写した写真を「日本の選手の汗や視線で真剣さは伝わるけど、観客の様子は分からない」、台風による大規模停電を上空から写した写真を「停電した街全体の暗さや静けさは伝わる。でも、一軒一軒は小さくて被害が読み取れない」などと発言。「~については分からないと思う」という反対意見や「写真のどこから~と思うの?」という疑問には、悩みながら議論を深める姿もあった。

 青山教諭は、新聞を授業で使いながら、児童の反応から気付かされることが多いという。「例えば街の明かりが乏しい停電の写真はカラー印刷、外国人観光客急増の写真の補足説明として記事があったほうがいいなど、記事を教材として適した形に工夫して活用する必要がある」と指摘する。一方、活用の大変さも吐露。「授業内容に合った記事を探す難しさ、児童全員の手元に渡るように印刷する準備の大変さがある。学年会で想定される児童の姿を話し合い、協力して授業を進めることができる環境を作るのが大切」と話した。

 2組では授業のほか、「見出しチャンピオン」と題し、児童が興味を引く新聞記事の見出しを選び、気に入った仲間の見出し表現に投票する取り組みも継続中だ。

 同校では、NIE実践校となった本年度、国語科と社会科を中心にした授業、朝活動や学級活動などの課外時間で、さまざまな実践を試みている。朝活動で新聞記事から問題を出題するワークシートに取り組み、集中して読解する力を積み上げてきた。職員室前の廊下には、当日の4種類の新聞が置かれ、児童が気軽に新聞を手に取り、親しむことができる環境を整えている。

 藤根隆校長は「NIEの担当教諭を中心に、学年の実態に応じた使い方を提案し、実践を重ねている。新聞は写真、見出し、文型、記事の組み合わせ方など、教材としての取り上げ方で活用の幅が広がる。来年度に向けて年間の授業計画に新聞を使った活動を位置付け、複数の情報を活用して考える力や、グラフ、表などデータを読み取る力を身に付けた子どもを育てたい」と話した。