漢字のテストプリントを印刷する児童たち=羽島市桑原町八神、桑原学園
テストプリントに集中して向かう児童たち。自分のペースで進められ、基礎学力の向上を図っている=同

◆漢字、計算テストで成果

 2017年度に義務教育学校に移行した桑原学園(羽島市桑原町八神)は、情報通信技術(ICT)機器の活用を教育の基盤に据え、子どもたちの基礎学力や自らの考えを発表する能力の向上に取り組む。小中一貫型の強みを生かし、今後の社会で必須となるICTを使いこなす力を継続的に育もうとしている。

 熱心に漢字や計算のテストに向かう子どもたち。問題を解き終えると、すぐにタブレット端末の前に移動する。採点結果を入力すると、前回間違えた問題を含んだ次のテストが印刷され、再び机に向かった。5年河合陽翔(はると)君(11)は「以前は漢字が苦手だったけれど、間違いが少なくなった。自分で次に進められるから楽しい」と手応えを語る。

 朝の会が始まる前の15分間で、週1回行っている「漢プリ・計プリ」の取り組みの一風景。同校は17年度、羽島市が岐阜大(岐阜市柳戸)と学校教材開発の文溪堂(同市江吉良町江中)の三者で開始した、市内小中学生の学力向上プロジェクトのモデル校の一つに選定された。同社が開発したタブレット端末用の学習プリント作成ソフトを使い、岐阜大が学習データを分析し、教材や教諭の指導法の改善を図っている。

 プロジェクトは緒に就いたばかりで、効果を正確に測れないものの、小川和彦校長によると、学習意識の向上が顕著に見られるという。「自分のペースで進められると同時に、分からない所が分かるということが意欲を引き出している」と説明する。

 小学校にあたる前期課程ではタブレット端末の写真機能を使い、図工の授業で制作した作品を校内の好きな所に飾って撮影し、同級生に作品の紹介をするなどICTに親しむ取り組みを実施。授業以外でも委員会活動でプレゼンテーションアプリを使い、提案スピーチを行っている。後期課程では、職場体験や修学旅行の内容を同アプリでまとめ、発表している。9年間を通じて、伝えるべき内容を選んで分かりやすいキーワードを考え、説明する順序を決める能力を自然に身に付ける。

 情報化の進展で人間関係の希薄化が指摘されているが、異学年との交流を活発に行い、コミュニケーションの大切さを学んでいる。授業に「教え学び愛科(仮称)」を新設し、前期課程の英語活動に後期課程の生徒が参加し、下級生に学んだ英語で教える授業などを展開している。「人と人が直接向き合い時間をかけて分かり合うことは、情報化の時代だからこそ大切になる」と小川校長は語る。