9日に開幕した第104回全国高校野球選手権岐阜大会。新型コロナウイルス流行前とほぼ同じ形での開催となり、保護者がスタンドで応援するおなじみの光景が球場に戻ってきた。開会式が行われた岐阜市の長良川球場で保護者に話を聞くと、コロナ禍の苦労と寂しさ、わが子の活躍をやっと近くで見守ることができる喜びが、ひしひしと伝わってきた。
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雨模様でも、保護者の表情は晴れやかだった。全出場校が参加しての開会式は実に3年ぶり。昨年は直後の第1試合の2校のみが参加したが、今年は68校の選手がグラウンドに勢ぞろい。スタンドには3年ぶりに一般の観客も受け入れた。遠方からやってきた球児の家族を含む、大勢の観客が席を埋めた。
新型コロナにめげず、努力を続けた子どもたちをねぎらう声が多く聞かれた。関有知高(関市)の保護者、会社員の男性(53)=関市=は「練習のやり方も制限される中でよく頑張ったと思う。先生方の指導に感謝したい」と話した。「息子はけがも多かったが、今まで気持ちを切らさずに頑張った。練習が止まっている中でも工夫するなど、かえってチームワークが深まった」と振り返った。
岐阜高専(本巣市)の保護者、公務員の男性(53)=岐阜市=は「入学当初は部活動もままならなかった」と悔しがった。「先輩たちの分も頑張ってほしい。高校野球は野球人生の一区切り。今までの分、力を発揮してほしい」と期待した。
開会式が始まり、メーンスタンドで熱心に写真を撮っていた大垣商業高(大垣市)の保護者の40代女性は「この日を無事に迎えられてうれしい」と涙ぐんだ。「小学1年から野球をやってきたが、新型コロナで中学の卒業式も縮小され、高校に入学してからも振り回されてきた。『高校野球やるぞ』と思ったらまたコロナ」と嘆いた。「1日でも長く、今のチームメートと楽しく悔いなく笑顔で終わってほしい」。
新型コロナは親子のコミュニケーションにも影を落としていたようだ。各務原高(各務原市)1年生の保護者の男性(57)=各務原市=は「練習がうまくできない悩みを打ち明けてくれないこともあった。あきらめないように声かけだけはしてきた」と振り返った。本巣松陽高(本巣市)3年生の保護者の女性(50)=岐阜市=は「1、2年の頃は球場の外で待っているしかない時もあった。今日は背番号を付けて並ぶ姿を見ることができ、うれしくなった。式が開けて本当によかった」と笑顔で話した。
出場校が一堂に会する開会式を初めて生で見て、圧倒された保護者もいた。式典の後「この中から1校しか甲子園に行けないという事実に、すごく重みを感じた」と語ったのは、子どもが大垣北高(大垣市)で投手を務める男性(50)。「学校での練習がほとんどできない時期は、自宅に帰ってからキャッチボールやティーバッティングで練習量を維持していた。努力する姿を見てきたので、一つずつ勝ちを重ねてほしい」と語った。
球児は県外からの下宿生も少なくない。県境を越えて式典にやってきた保護者も感慨深そうにしていた。中京高3年生の保護者の男性(49)=長野県=は「(コロナ禍の規制は)『しょうがない』と自分に言い聞かせていたが、3年生の最後の大会で開会式が開かれて安心した」と話した。別の男性(49)=愛知県=も「試合会場の人数制限などたくさんの規制があり、現地で応援できないことも多かった。親はサポートに徹するしかない。苦境を乗り越えてきた仲間と一緒に頂点を目指してほしい」とエールを送った。
久しぶりに拍手と吹奏楽が鳴り響く今年の大会。応援する側の感動もより一層大きい。肝心の試合は、あいにくの荒天で延期が相次いでいる。球児は焦ったり無理をしたりせず、グラウンドで躍動する姿を少しでも長く見せてほしい。










