マンション林立、顕著な植民地化
―ということで、天下ブランドを持っていたところに、国民的スターのキムタクという現代版〝天下人〟の歴史が加わった岐阜。もう唯一無二のまちとして〝脱植民地宣言〟をしてもいいのではないでしょうか。
「まだまだ〝植民地化〟は顕著ですけどね。駅前にマンションができているから。岐阜も大垣も、多治見にも駅前マンション。そこから名古屋に通勤。これも一つの衛星都市の現れですね。最近は、企業の支店も名古屋に集約されている。岐阜は名古屋から日帰りできるし、通信技術が発展して、わざわざ岐阜に営業所を置かなくてもいい。だから、名古屋一極集中を変えるには、あたしの個人的な持論では道州制にして名古屋以外のところに州都を置く―。これしかない」
「でも、今回のまつりが起爆剤になればいいですよね。これだけの人が集まったんだから。みんなが協力して。偶然とはいえ、一つの成果でしょ。きちんと分析してどう生かすか。そこを考えないともったいない」
天下取りは岐阜から
―そう簡単に〝脱植民地宣言〟はできないけれども、光は見えたんじゃないかと?
「うん。外から刺激を受けてね。自分だけの天下を目指す、探す人が岐阜に集まり、競い合ってもいいね。個人的な天下ね。このジャンルの天下を取りたいと」
―それは、かかあ天下でもいいと?
「うまい! 女性活躍や子育て支援で日本一とかね。せっかく〝天下〟というキーワードがあるんですから。使わないと。いろんなジャンルの人が天下を目指して岐阜に集まる。そういうまちになるといいね」
天下を取りたきゃ岐阜に来い!?
―岐阜市では、春に道三まつり、秋に信長まつりがあります。今回、信長の騎馬武者行列が大通りを北進しましたが、4年に一度、ミックスして道三の行列が南進してもいいですね。左右の車線を使って。
「そう。岐阜高島屋前でバチバチと(笑)。それは冗談にしても、いろいろと発想豊かに未来を考えていくことが大事」
―今後は、どんな本を書きたいですか。
「岐阜はこんなに面白いところだよっていう本を書きたいね。『天下を取りたきゃ岐阜に来い!』とか。まちがどう成長していくかで、本の内容もタイトルも変わる。当時は『名古屋の植民地』にしたけれど、変えようと思えば変えられる。あーキムタクの聖地ねとか、全国的なイメージが定着すれば、名古屋を絡めて説明する必要なんてないですから」
(聞き手・瀬戸覚旨デジタル報道部記者)
【松尾一さんの略歴】まつお・いち 1947年生まれ。地域史家。ライフワークは近世の交通史と比較地域文化。著書に「北陸街道紀行―芭蕉『おくのほそ道』を織り込んで」(まつお出版)など。「岐阜『地理・地名・地図』の謎」(実業之日本社)も監修。








