スマートフォンの使用ルールを話し合ったワークショップ=瑞穂市別府、総合センター

◆瑞穂市で講演会 禁止するより説明大切

 携帯電話の所有率は県内の中学生で5割を超える。スマートフォン(スマホ)やタブレットの普及に伴って、個人情報がネット上に拡散するなどしてトラブルに巻き込まれる危険も広がった。夏休みはスマホやタブレット、家のパソコンを使ってインターネットに1人でアクセスする子どもが増える。ネットやスマホの使用について、親子でどのようなルールが必要なのか。

 「使う時間は午後10時まで、などの禁止ルールは子どもが納得しない。子どもに理解してもらうためには、自分の家が特定されてしまうから、など何を守るルールなのかを説明することが大切」

 このほど瑞穂市別府の総合センターで開かれた講演会。元小学校教頭で情報モラル教育研究所(岐阜市)代表の上水流信秀(かみずる・のぶひで)さんが話し掛けた。ルールづくりを学ぼうと、瑞穂市PTA連合会母親委員会が主催し、小中学校PTA会員の約50人が集まった。

 上水流さんは岐阜新聞の連載「考えよう! みんなのケータイ・スマホ」でも注意喚起しているように、ショート動画配信アプリやゲームのチャットなどの投稿をさかのぼって解析すれば、個人情報は特定しやすいと指摘。個人を特定できる実在の動画や、子どもの意図に反して拡散されてしまった動画を紹介しながら、人の顔や学校の名札、部活のユニホーム、背景の看板などがその手がかりになってしまうことを説明した。

 ルールづくりのポイントとして「やめなさい、という禁止命令では子どもは聞かない」と強調。「お母さんもやりたいから見せて」と、子どもに寄り添って、家族で何でも話せる環境づくりをしてから、ネットの危険性やルールを理解してもらうことが大切ではないか、と主張した。

 県教育委員会の2018年度の情報モラル調査結果によると、携帯電話を持っている県内の小学生は、1年生の男女とも17%台。6年で男子38・3%、女子45・3%となり、中学1年で男女の平均値が5割を超える。中学3年では男子57・1%、女子61・8%となり、高校1年からは男女とも95%を越える。

 携帯電話の利用について家庭でルールを決めているかを問う項目では、「決めている」と答えたのは、小学生の男女とも全学年で5~6割。中学生になると4~5割に下がり、学年が進むごとに割合が減少する傾向にある。

 続くワークショップでは、参加者が7人1組のグループに分かれ、情報モラル教育についての新聞記事も参考にしながら話し合った。

 「背景に何もないところで写真を撮る」「家族の写真は正面から撮らない」「写真を撮る時、顔の一部を隠す」「家の間取りが分からないように撮る」「投稿する前に見せてもらう」などの案が出た。

 上水流さんは「ネットには写真1枚でも残る。子どもの未来に傷が付かないよう、守ってほしい」と呼び掛ける。参加した牛牧小PTA役員の若山陽子さんは「親が100%見守ることはできず、どうすればいいのかが課題。子どもと同じ世界を共有するのは一つの方法」と話していた。