古い町並みで、外国人観光客に英語で久々野地域の魅力を紹介する生徒=1月、高山市
英語で学習内容を説明する生徒=昨年11月、高山市久々野町久々野、久々野中学校

サイクル学習 教科書を4回繰り返す

 高山市久々野町久々野の久々野中学校は2016年度から、新たな英語学習法に取り組んでいる。教科書を4回繰り返す「サイクル学習」と、実際に英語を使う「アウトプット活動」が2本柱。生徒は意欲的に臨み、英語によるコミュニケーションに自信を深めている。

 「エクスキューズミー(すみません)」。1月末、観光名所で知られる同市中心部の古い町並みで、3年生が外国人観光客に駆け寄った。

 訪日客に英語で久々野地域の魅力を伝える試みで、アウトプット活動の一環。足を止めた外国人に、特産のリンゴやスキー場などを紹介した。

 アウトプット活動の狙いは、英語を学ぶ意欲を高めること。地元で外国人観光客や外国語指導助手らと交流したほか、修学旅行先の広島では訪日客に平和をテーマにインタビューした。

 活動は1~3学期に2回ずつ程度。当初は戸惑いもあったが、回を重ねるごとに積極的に話し掛けることができるようになったという。3年の水口明音さん(15)は「笑顔で話し掛け、喜んでもらえるとうれしかった。コミュニケーション力がついた」と話す。

 新たな学習法の導入は、16、17年度、県の英語教育イノベーション戦略事業で拠点校に指定されたことがきっかけ。授業は真面目に取り組む一方、実際に英語を話す場面で尻込みしがちな実態を踏まえ、「英語に慣れ親しみ、進んでコミュニケーションを図ろうとする生徒の育成」を主題に掲げた。

 アウトプット活動の基盤となるのが「サイクル学習」。田口令子教諭(51)が、横浜市の中高一貫校を参考に「久々野中式」を編み出した。

 年間4回のテストを区切りとして、教科書を3単元ずつ4回繰り返す。各サイクルの内容は「聞き取り」「音読」、主に主語と動詞の空欄を埋めながら読む「穴あき音読」、教科書の内容を1分間で話す「リテリング」。授業数が週4回の一般的な公立校でも実践できるよう工夫を凝らした。3年の岩佐奈泉さん(15)は「何度も繰り返すことで基本文を覚えることができ、話す時も書く時も応用できた。授業もテンポ良く進み、集中できる」と歓迎する。

 「適度な間隔で繰り返すことで学んだことが定着する。間違えてもいいから話すことで感覚が身につく」。田口教諭は「最初の1年は効果があるのか不安もあった」と率直に振り返りつつ、2年を経て成果を確信する。何より生徒が楽しそうに活動している、と目を細める。

 「使える英語」を身につけようと、18年度以降も継続して取り組む方針。

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 ㊦は19日付で麗澤瑞浪中学・高校の英語学習の取り組みを紹介します。