羽島郡岐南町議会で9月下旬まで正副議長を担った木下美津子さん(右)と後藤友紀さん。「議会も女性が半数いて当然」と口をそろえた=同町役場議場

 世界経済フォーラムが今年3月に発表した男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)によると、日本は政治分野で156カ国中147位と最低ラインだった。次期衆院選では女性の政治参加やジェンダー格差の解消に向けた政策も争点の一つになりそうだ。岐阜県羽島郡岐南町議会では9月下旬まで1年間、全国でも珍しく正副議長をともに女性議員が務めた。前議長の木下美津子さん(71)=6期目=と、前副議長の後藤友紀さん(44)=3期目=だ。女性議員が少ないことへの問題意識や、望ましい議会の在り方を尋ねると、両議員は「人口は男女が半分ずつ。議会も女性が半数いて当然だ」と口をそろえた。

 出席した県内の町村議会議長会で「議長は私以外、全員男性だったこともある」と木下さん。議長が集まった別の会合では「議長のほか、出席した行政側の職員も男性ばかりで、この世界では女性が極端に少ないと痛感した」と振り返る。

 後藤さんは「子育ては圧倒的に女性が担っているのが現実。幼い子どもと一緒に過ごす経験が少ない男性とは、子育て政策の議論がかみ合ってないと感じることがある」と話す。

 2人は、国会も地方議会も女性議員が極めて少ない弊害を危惧する。木下さんは国会議員と議長との意見交換会を振り返り「男性の議長からは、道路や施設などの建設に関する質問や要望がほとんどだった。自分は子宮頸(けい)がんワクチンについて質問したが、男性と女性の視点の違いを感じた」と話す。後藤さんも「男性が圧倒的多数の議会で、女性が真に望む政策が通りにくいのではという不安がある。多様性が叫ばれている時代に、議員の男女の比率に偏りがあってはならない」と指摘する。

 ただ、女性が議員になるには大きなハードルがある。主婦で、5年前の町議補選で初当選した後藤さんは「幼い子どもがいたが、家族の協力で議員の仕事と家事、子育てを両立してきた。議員を続けるには男性以上に家族の理解、協力が必要」と実感する。

 政府は昨年末に策定した第5次男女共同参画基本計画に「国政選挙の女性候補者割合を2025年までに35%とする」との目標を明記したが、強制力はなく、各政党の取り組みに委ねられている。県内の次期衆院選の立候補予定者16人のうち女性は4人で、割合は25%にとどまる。一方、法律で候補者や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を国会、地方議会で導入している国は多い。

 後藤さんは「現実に女性議員を増やすには何らかの法整備が必要では。最高機関の国会が見本を見せて変わらないと、地方議会へ波及していかない」と主張。「女性議員は最低でも3分の1は欲しい。政治参加できる環境を整えてほしい」と願う木下さんは、「高齢化社会で介護などさまざまな福祉の課題を解決していくには、これまでこの分野を主に支えてきた女性の視点、考えが重要になる」と力を込めた。

 【女性議員の割合】 内閣府男女共同参画局によると、2020年6月時点で衆院議員に占める女性の割合は9・9%。世界平均(下院・一院制議会)は25・0%で、日本は世界190カ国中163位だった。県選挙管理委員会によると、同年12月時点で県内市町村議会の議員601人のうち女性は79人おり、割合は13・1%。最も高かったのは女性が4人の飛騨市で、30・8%。可児郡御嵩町(3人)の27・3%などが続いた。瑞穂市と揖斐郡池田町、加茂郡富加町、川辺町、七宗町は女性がゼロだった。