県警山岳警備隊初の女性隊員となった小木曽真央巡査長(左)と水谷茉央巡査部長=21日、高山署
訓練に励む隊員ら=15日、高山市奥飛騨温泉郷神坂、西穂高岳(県警提供)

 険しい山々で救助活動に当たる岐阜県警山岳警備隊に今春から、初の女性隊員が加わった。高山署警務課の水谷茉央(まお)巡査部長(27)と同署交通課の小木曽真央巡査長(24)。約半年間、厳しい訓練に取り組んできた2人は23日、山岳パトロールで現場デビューする。2人は「早く登山者に胸を張って『山岳警備隊員です』と言えるよう、これからも訓練に励んでいきたい」と表情を引き締める。

 県警山岳警備隊は飛騨、恵那山、能郷白山の3方面隊、計55人で構成。それぞれが所属する署に勤務しながら、月1、2回の訓練に参加し、捜索や救助などの出動に備えている。年4回の登山シーズン中にはパトロールや登山指導を行い、一部の隊員は山小屋に常駐。県警で最も過酷な職務の一つとされている。

 県警では1964年に警備隊の前身である山岳機動隊が発足して以降、男性のみが携わってきた。しかし、近年の女性の社会進出に伴い、県警も性別にかかわらず活躍できる職場を目指して組織改革を推進。今年4月、高山署に勤務する女性警察官の中から基礎体力や本人の希望などを考慮し、2人の入隊が決まった。

 水谷巡査部長は陸上、小木曽巡査長は競技スキーと、学生時代は運動部に所属していたものの、登山経験は全くなかった。訓練では男性隊員とほぼ同じ10キロほどの荷物を背負い、3千メートル近い山に登る。下山ではお互いを遭難者役に見立て、背負って降りてくる。水谷巡査部長は「体力面だけをみたら男性隊員に劣ることもある。でも、女性だからできないということは、一つもない」と力強い。

 これまで男性だけだった現場に女性が加わることの難しさもあった。2人を指導する飛騨方面隊の陶山慎二朗小隊長(46)は「初めはどこまで(男性隊員と同じことを)やらせていいのかと悩んだ」と打ち明ける。しかし実際に過酷な訓練が始まり、2人に「最初は見ているだけでいい」と伝えても、返ってきた言葉は「やらせてください」。陶山小隊長は「非常に頼もしい」と活躍に期待する。

 小木曽巡査長は「(女性隊員の)最初の1人になったからには、今後入ってくる女性たちが働きやすい環境にしていきたい」と意気込む。「自分たちの頑張り次第で、県警全体がもっともっと、女性がやりたいことをやれる場所になっていく」とまなざしは熱い。

 23日は岐阜と長野県境の西穂高岳で、初めてパトロール活動に参加する。19日に発生した地震による危険箇所がないかを点検したり、登山者の装備を確認したりする予定だ。