藤井浩人氏

 岐阜県美濃加茂市の浄水設備導入を巡る贈収賄事件で、2017年に事前収賄などの罪で有罪が確定した美濃加茂市の藤井浩人前市長(37)が22日、贈賄側の元業者の男の友人として出廷した男性の証言が検察側に誘導されたもので証拠能力はないなどとして、月内に名古屋高裁に再審請求を申し立てる方針を明らかにした。

 刑事裁判の確定判決によると、藤井氏は2013年3~4月、元業者の男から浄水設備導入で便宜を図るよう依頼され、計30万円を受け取った。一審名古屋地裁は無罪を言い渡したが、二審名古屋高裁が元業者の「現金を渡した」という供述の信用性を認め一審判決を破棄し、懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪とし、最高裁が藤井氏の上告を棄却。昨年12月には執行猶予期間が満了していた。また、元業者は贈賄罪などで懲役4年の実刑判決が確定した。

 証人として出廷した男性は「30万円を前市長に渡したと聞いた」と証言。だが、昨年10月ごろに弁護士が男性に改めて話を聞いたところ、「証言は、検事の話に基づいて推測も含めて話をしたもの。記憶に基づくものではなく、30万円という金額の話が出た記憶もない」と、証言した内容を否定したという。そのため、有罪の判断に影響した証言が検察側の誘導で引き出されたもので、証拠能力はないとして、藤井氏の無実を示す新たな証拠が出てきたとして再審請求することにした。

 藤井氏は22日夜、代理人の郷原信郎弁護士と共にオンラインで記者会見し「再審請求が可能な段階にきた。有罪判決を覆してもらい、潔白を証明してもらえることを望んでいる」と述べた。

 判決を巡っては、贈賄側の元業者の虚偽証言で損害を受けたとして、藤井氏が元業者とその弁護士に計約1億円の損害賠償を求める訴訟を起こしているが、今年7月の控訴審判決で東京高裁は「虚偽であることが明白とは言えない」として一審に続き、請求を棄却している。