完成報告会に臨む(左から)内藤諭さん、鯨岡弘識さん、前田聖来さん=郡上市八幡町島谷、市産業プラザ

 新型コロナウイルス禍で郡上おどりが中止となった岐阜県郡上市八幡町を舞台にした短編映画「おどりなき夏」が完成した。郡上八幡に魅了された若手映像作家らが手掛け、将来は郡上おどりを題材にした長編映画の製作に意欲を燃やす。動画投稿サイト「ユーチューブ」で無料配信している。

 上映時間は5分28秒。2年連続で郡上おどりのない静かなお盆となった地域を描いた。帰省で長良川鉄道郡上八幡駅に降り立った青年を妹が迎えに来るシーンで幕を開ける。2人は観光名所「やなか水のこみち」で、この世に帰ってきた亡き父と出会う。

 製作したのは、いずれも東京で活動するプロデューサー内藤諭さん(37)、監督鯨岡弘識(ひろのり)さん(28)、助監督前田聖来(せいら)さん(25)。現地での撮影には、市観光課内の郡上フィルムコミッションが協力した。

 きっかけは、数年前に内藤さんが深夜ラジオで耳にした徹夜おどりだった。愛知県春日井市出身の内藤さんは、中学校の野外学習で郡上を訪れていたが、徹夜おどりの存在は番組で初めて知ったという。興味を持ち、「郡上おどりを題材にした映画を作りたい」と思い立った。

 構想は約2年前から練ってきたが、コロナ禍で昨年に続き郡上おどりの中止が決まり、二の足を踏んでいた。今年6月には郡上八幡を訪れ、町並みを歩いた。「絵になる風景がたくさんあり、ほれた」と決意を新たにした。

 8月下旬、以前から映画製作の話をしていた鯨岡さんと仕事の打ち合わせをした際、現地で住民から聞いた不安の声を伝えた。その場で製作が決まり、わずか1週間で準備し、月末に1日で撮影した。

 同市八幡町島谷の市産業プラザで完成報告会があり、内藤さんは「作品を見た人が郡上を訪れ、地元の人にもバラエティー番組とは違う、映画の舞台としての郡上の見え方を楽しんでほしい」と話した。目標の長編映画についても「郡上おどりを描いた作品を作りたい」と語り、足掛かりとして今作の反響に期待を寄せた。

 作品は郡上おどり運営委員会のユーチューブチャンネルで視聴できる。