"難を転じる"に通じることから縁起のいい植物として正月飾りや仏花などの花材として使われることの多いナンテン。葉は邪気を払うとしてお赤飯やおせち料理の飾りに、実はせき止めの薬として古来から重宝されてきた薬用植物でもある。岐阜県郡上市八幡町は、ナンテンの実の房の出荷量が日本有数の"南天の町"として知られ、ナンテンの実を球状にした「南天玉」は冬の風物詩。つややかな赤い実を付けたナンテン畑の広がる町を訪ねた。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」「八幡町周辺の山地では昔からナンテンがたくさん自生していて、正月前に岐阜や名古屋などから業者が買い付けに来ていた。近年は、ほ場で苗木を育てて栽培、収穫をしているが、季節ものなので約100軒ある生産農家は兼業がほとんど。管理が大変」と話す郡上八幡南天生産組合の吉田一博組合長(72)。ナンテンが八幡町内で栽培されるようになったのは30年ほど前からという。
八幡町の石灰岩質の山土が生育に適し、寒暖差の大きい気候や山から下りてくる夜の冷たい風が色や実付きのいい「郡上南天」をつくる。実が落ちにくいのも郡上南天の特徴で、切り花や南天玉も長期間楽しめる。
収穫時期は11月下旬から12月上旬にかけて。毎年地区ごとに11月半ばには「目ぞろえ会」を開き、実の大きさや密度の基準を決める。実が密集して色つやのいい房を正月花用として主に関西の市場に出した後、残った実は、薬用のどあめの原料として出荷する。「うちでは毎年300~400キロの実がのどあめになる。せきによく効くみたい」と吉田組合長。
例年なら12月半ばには町内で「南天まつり」が開催され、南天玉や鉢植え、苗木の即売が行われるが、昨年に続き今年もコロナ禍で中止。南天玉の飾り付けも行われないが、那比川沿いの国道256号、通称"南天街道"では、街道脇にナンテン畑が点在し、晩秋から初冬にかけて赤い実をたわわに付けているのを見ることができる。
また、郡上市と関市にまたがる高賀山の信仰拠点「高賀六社」の1社で「文化財の宝庫」でもある那比新宮神社も訪れたいスポット。中世の連歌師・宗祇ゆかりの古社で、拝殿や苔(こけ)むした境内にはすがすがしい雰囲気が漂う。
【案内】▽南天街道 交通=八幡町相生から国道256号で関市板取方面に向かい、タラガトンネル東口に位置する高畑まで。相生から高畑まで車で約20分。▽那比新宮神社 交通=南天街道から県道315号で美並町方面に車で約10分。問い合わせ=郡上南天については郡上市農林水産部農務水産課、電話0575(67)1835。















