小児科医 福富悌氏

 寒い日が続いていますが、時々晴れた日もあります。このような時に鼻がムズムズして、花粉症の始まりを感じます。新型コロナウイルス感染症が収束しない中、インフルエンザも流行の兆しがある中でのくしゃみと鼻水は人目が気になります。花粉症の症状は困りものです。

 花粉症があると、くしゃみや鼻水だけでなく、ある特定の果物や野菜を食べて喉のイガイガ感やかゆみ・腫れなどのアレルギー症状を引き起こすことがあります。これは食物と花粉が関連した花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の症状です。口や喉のアレルギー症状のため口腔(こうくう)アレルギーともいわれます。花粉症の低年齢化・増加傾向により、PFASも低年齢化し増加傾向にあります。

 花粉症の症状に対して、鼻水やかゆみを抑える薬、鼻詰まりを抑える薬などが一般的に使われていますが、中には症状が強く薬が効きにくい場合があります。このような方には最近新しい薬が使われるようになりました。これらはアレルギーの原因となる体内での反応を抑える作用を持つ、抗体製剤やJAK阻害薬と呼ばれる薬剤です。これらの薬剤の登場によりアレルギー治療が大きく変化してきました。現在は主に重症のアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどで使用されていますが、花粉症でも重症の場合に使われる注射薬があります。

 これらは高額な上、症状の程度に加え年齢制限もありますので、誰にでも用いることができる治療ではありません。しかしながら日常生活、仕事、受験や勉強などに支障が出ることがある人はアレルギーの専門医などに相談しましょう。

 アレルギー症状は体のあらゆる臓器で起きる可能性があり、一つのアレルギー症状があると次々に異なるアレルギー疾患が発症または悪化する場合があります。例えば鼻炎の治療が不十分だとぜんそくが悪化しやすいことが知られています。アレルギー疾患は最近増加傾向にあるため=図=、花粉症からアレルギー症状が広がらないように注意しましょう。

(福富医院院長、岐阜市安食)