統一地方選の前半戦、岐阜県議選の告示(31日)を前に、通信アプリ「LINE(ライン)」で読者とつながる岐阜新聞の「あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)は、県議のイメージを登録者に聞いた。なじみがないという声が大半を占めた一方、市町村議より大局的な立場での役割を期待する意見もあった。

 イメージの解析には、データ分析を手がける「ユーザーローカル」(東京都)のAIテキストマイニングを活用した。登場した言葉を本紙で一部調整した上で、登場頻度の高い単語や特徴的な単語を大きく表示する機能を使って可視化した。

 名詞を除いて解析したところ「届きにくい」「わかりづらい」が頻出した。瑞穂市の男性会社員(69)は「県議は遠い存在」と指摘。市町村議が身近な一方、県議の仕事、役割は有権者にとって明確でないとして不満を漏らした。羽島郡岐南町の女性(40)は「何をやっているのか分からない中途半端な存在」と辛辣(しんらつ)で、有権者に寄り添うため、触れ合ったり、話し合ったりする場をより多く持つよう求めた。高山市の会社員(36)は「ある意味、県議は議員の中で一番身近でない。県庁所在地から遠く離れた場所で暮らしていると、県議会そのものを遠くに感じる」と印象をつづった。

 県議のイメージは他に「押さえ込む」のほか、名詞を含めた解析では「長老」が目立った。飛騨市の自営業男性(69)は県議会の現状を「長老に支配されている」と批判する。岐阜市の自営業男性(73)も「長老議員が威圧的だから若い議員の声が聞こえなくなる」と指摘し、若い世代が選ばれ活躍できるよう選挙制度などの変更を求めた。

 「市町村」も頻出ワードで、県議の存在を肯定的に捉えた意見にも登場。関市の男性(61)は「市町村議員のリーダー。国と地方のつなぎ役」と期待し、各務原市の男性(74)は「国、県、市町村の行政を適切な方向へ進めるプロフェッショナル」と評した。

 ベテラン県議は結果をどう受け止めるか。5期を務め、今期限りで引退する現職の松村多美夫氏(72)=本巣市選挙区=は「市議は地元、国会議員は国を向いており、県議はそれらの中間で難しい立場にあることは確かだ」と実感を口にする。自身は定期的な県政報告会のほか、新年互礼会、後援会などの会合を開き、活動報告書も地元住民向けに配布してきたという。「顔が見えにくいからこそ、見えるような活動に取り組んできた。さまざまな場を通して意見を聞き、県政に反映してきたつもり」と努力を明かした。

 岐阜大教育学部の田中伸准教授(社会科教育学)は県議の活動の実態や成果が県民へ十分に伝わっていないことを前提にする必要があるとした上で「交流サイト(SNS)による発信はもちろん、地域での定期的な政策討論会の開催を含め、県民が評価できる多様な材料を提供すべきだ。あいさつや一方的な発信では県民に情報は届かない」と述べ、マニフェストの達成具合をさまざまな手段で公表することなどを求めた。

 アンケートは20日から5日間実施。45件の投稿が寄せられた。