水稲の害虫「トビイロウンカ」の飛来が昨年より早いとして、岐阜県は8日、県内全域に病害虫発生予察注意報を発表した。発表は、22年ぶりの発表だった昨年に続き2年連続。
県病害虫防除所によると、トビイロウンカが田んぼで増殖すると稲の生育が悪くなったり、特定の範囲の稲が枯れる「坪枯れ」を起こしたりする。県内では被害の報告はほとんどなかったが、昨年美濃地域で複数の坪枯れが発生した。
今年は6月25日に海津市で初めて飛来が確認された。静岡県や三重県など近隣県でも見つかっており、同所は薬剤を使った早めの防除を呼び掛けている。
◆わせ品種への被害懸念 昨年被害の農家「防ぎ切れるか不安」
昨年県内のコメ農家に大損害を与えたトビイロウンカが、今年も大発生の兆しを見せている。「防ぎ切れるのか不安だ」と話すのは、昨年被害を受けたコメ農家の高井一郎さん(66)=岐阜市則松=。ハツシモを栽培している田んぼで、昨年9月に坪枯れが発生。収量は平年の6、7割に落ちた。
トビイロウンカは稲の根元に定着すると、ねずみ算式に増えて坪枯れを起こし、田んぼの全面に枯死を広げる。対策方法が乏しかった江戸時代以前には飢饉(ききん)の一因になったとされる。
県内ではここ数年、猛威を振るう。2019年におよそ20年ぶりに県内3地点で坪枯れを確認。翌20年には62地点で見つかった。県農業共済組合によると、昨年度に被害の原因が明確で農作物共済金の補償の対象になった田んぼのうち、4割を超える約4万2千アールで坪枯れ被害があった。
今年は昨年より早く飛来が確認されている。県病害虫防除所(同市又丸)によると、6月25日に海津市で最初の1匹が見つかった。被害の大きかった昨年より約1カ月早く、8日時点で計7匹発見されている。
県は昨年9月に出した注意報を早くも発出し、農家に対策を促した。同防除所の堀之内勇人係長(52)は「飛来が早い今年は、稲に被害をもたらす数まで増えるのも早いとみられる。お盆前に収穫するようなわせ品種も注意が必要だ」と語った。
【トビイロウンカ】 大陸から気流に乗って飛来するカメムシ目の害虫。小さなセミのような姿をしており稲の根元付近から汁を吸う。成虫の体長は4~4・8ミリ。田んぼの狭い範囲で急激に増え稲が円形状に枯れる「坪枯れ」を引き起こす。飛来した数が少なくても繁殖力が強いため、大きな被害をもたらす場合がある。










