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Ozawa Kaede
小澤 楓さん(岐阜第一高校  普通科スポーツコース1年)

おざわ・かえで 2007(平成19)年生まれ、岐阜県本巣市出身。糸貫中出。

BMXをやっていた父親の影響で幼少期からBMXに触れる。空中技の格好良さに魅了され、小学2年生ごろからBMXフリースタイル・パークに本格的に取りくむ。

17年には中国・成都で開催された世界選手権ジュニア部門で3位入賞。19年4月に広島県で行われた世界選手権同部門で見事優勝に輝く。同年(19年)の全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)が主催する全日本選手権、マイナビ・ジャパンカップ(いずれも10~12歳クラス)など3つの国内主要大会を制覇し、シリーズチャンピオンとなる。

中学3年生だった昨年5月のマイナビ・ジャパンカップでトップカテゴリーのエリートクラスにデビューすると、いきなり2位の好成績を収め、同シリーズ第2戦では優勝を果たす。続く9月の全日本選手権エリートクラスでは2位に輝く。10月にさいたまスーパーアリーナで開催されたアーバン(都市型)スポーツの国際大会「キメラAサイド」では、世界トップクラスのライダーも出場する中で6位となる。11月には世界選手権(UAE)、12月にはワールドカップ最終戦(オーストラリア)に出場するなど、世界の舞台でも躍動している。
 

国際舞台でも輝きを放つ 世界トップ選手としのぎを削る

若干15歳にして国内を代表するBMXフリースタイル・パークのトップ選手である小澤楓さん。

小学生の時に世界選手権のジュニア部門で優勝するなど、幼少期から同競技で活躍しています。

国内外の多くの大舞台で緊張する様子を見せず、次々と華麗な技を決める小澤さんのパフォーマンスは観客の視線を釘付けにします。

そんな小澤さんの現在までの活躍を振り返りながら、競技への思いやBMXの魅力について紹介します。
 

■BMXフリースタイル・パークを始めたのはいつからですか?

 父親がBMXをやっていた影響で、幼いころからBMXに乗っていましたが、本格的に競技に取り組み始めたのは小学2年生ころです。

■普段はどんな場所で、どのように練習しているのでしょうか?

 主に「NeoBMXパーク」(本巣市根尾)で練習しています。2年前にできた施設で、それ以前は自宅の近くに父が作ってくれたジャンプ台などで練習していました。根尾のパークは広々としていて、周囲の状況を気にせずに練習できます。自分のホームの練習場といった安心感もあって、一つ一つの技をしっかりと磨ける環境もありがたいですね。パークの角度や高さなど設定も自由に変えられるのも大きなメリットです。根尾のパーク以外でも、上石津(大垣市)や「Hi‐5」(愛知県あま市)のパークなどでも練習しますし、県外まで足を運んだりもします。

■これまで出場してきた大会などを教えてください。

 小学3、4年生くらいになってから大会などに出場するようになりましたが、初めて優勝した大会は覚えていないですね。(これまで出場した大会で)印象に残っているのが、昨年5月のマイナビ・ジャパンカップ(エリートコースに初エントリー)で2位になったことです。予選通過を目標としていましたが、予選を2位で通過できたことが良い結果につながりました。7月のジャパンカップでは優勝こそしましたが、(日本№1とされる)中村輪夢選手が出場していなかったのと、他の選手にミスが目立った中での優勝だったと思っています。

■国際大会にも出場していますよね。

 昨年10月の「キメラAサイド」(さいたまスーパーアリーナで開催)では、海外の選手とも戦えていい経験になりました。会ったことはあってもすれ違うくらいの存在だった海外のトップ選手と同じ舞台で戦えましたし、交流を深められたことも良かったです。おかげでその後に出場した世界選手権やワールドカップでは、余裕を持てました。昨年12月のワールドカップ最終戦では、レッドブル所属の世界トップ選手がいる中で予選を突破して18位になることができ、良い成績を収められたと思っています。

■大会に臨むときの心構えや、パフォーマンス時に意識していることは?

 自分は会場に向かえば、試合の雰囲気に自然と入っていけるタイプです。ジャンプランプ(ジャンプ台)で技が決まれば、そのまま勢いに乗っていけます。大人の選手と比べて自分は力がないので、競技中は一つの技を入れた後、すぐに別の技を入れることを意識しています。技を多めに入れるのが自分のスタイルなので、観戦時はそこを見てほしいですね。

■最後に今後への意気込みをお聞かせください。

 国内の大会は予選を必ず突破して、上位を目指します。世界大会では予選を突破しなければ始まらないので、まずは予選通過を第一に考えて、そこからできることを着実にやっていきます。
 

【BMXとは?】

 BMXはBicycleMotocrossの略。モータースポーツのモトクロスが由来となっている自転車で、オフロードバイクの自転車版といえます。競技としては大きく分けて「レース」と「フリースタイル」に分かれ、レースは2008年北京大会で五輪の正式種目となり、フリースタイル・パークが21年東京大会から新たに正式種目となりました。

【レース Race】

 起伏の大きなダートコース(舗装されていない土や砂などで作られたコース)を走り、障害物で大きくジャンプしたりしながらゴールを目指し、着順を競い合います。

【フリースタイル・パーク Free Style Park】

 スピードや着順を競うレースに対して、フリースタイル(パークの他にもフラットランドやストリートなど複数の種目がある)ではBMXに乗った状態から繰り出す技の難易度を競い合います。中でもパークはジャンプランプ(ジャンプ台)などさまざまな形状の障害物を使って空中に飛び出し、BMXに乗ったまま宙返りをするなど、アクロバティックで派手な技を制限時間内に次々と繰り出します。
 

Neo BMXパーク ~BMXといえば「根尾」と呼ばれる場所へ~

 小澤楓さんがよくBMXの練習をしているのが「NeoBMXパーク」(通称Neoパーク)です。楓さんの父であり、根尾で建築・造林業を営む建司さんが、2021年8月に地震断層観察館の裏側に作ったお手製のパークで、難度の高いトリックの練習が可能な立派な施設となっています。楓さんと共に競技に打ち込む、現在中学2年生の美晴さんも同年代のトップ選手で、一緒に練習に励みます。BMXを始めたい若い人たちがNeoパークに足を運び、楓さんからアドバイスをもらうなどして一緒にBMXを楽しんだりもしています。

 また、今年5月から、旧根尾小学校の体育館をBMXの新たな施設として整備。本巣市が旧根尾小体育館の利用活用事業者を公募したのをきっかけに、建司さんがBMXの練習拠点の整備を提案し、市の審査を経て事業者に選ばれました。空中で繰り出すアクロバティックな技の練習を安全に行えるようにと、着地の衝撃を和らげるスポンジプールや、ジャンプ台を体育館に設置する予定です。将来的には、風や雨、雪など天候に関係なく練習ができる国内トップクラスの屋内BMX施設へと改築していきます。