気軽に話しかけ、選手らにアドバイスするOBで慶大学生コーチの岡田源太郎=岐阜高
慶大進学を希望するエースの鷲見旺宥(右)と井上雄貴にピッチングのコツを伝習する森下祐樹
自ら守備を実践し、手本を示す齋藤來音
選手を集め、気がついたことや大会に向けての心構えを語る(右から)齋藤來音と岡田源太郎

 創立150周年の今夏、69年ぶりに全国高校野球選手権出場を目指す名門岐阜高(岐阜市)。近年になく充実した投手陣で秋春ともベスト4と躍進し、学校関係者の期待も高まる。22日には、その69年前に聖地を踏んだプロ野球のレジェンド森祇晶(まさあき)さん(86)が激励。25日まで6日間にわたり、恒例の現役慶大生による指導が行われ、選手らは大きな支援を力にレベルアップに励んでいる。

【2024高校野球岐阜大会】特集ページはこちら!

◇半世紀以上続く伝統のバックアップ

 同高の慶大生招へいは、毎年、夏の大会を前に約1週間行われ、4年生を中心に数人が訪れている。同高、同大とも野球部OB会の会長で慶大、全日本などで監督を歴任した後藤寿彦県野球協議会理事長(70)も高校時代に指導を受け、慶大3、4年生時に指導に訪れた。「正確にはわからないが、50年以上の歴史がある」と感慨を込める。OBの北川英治同高監督(51)も慶大生の指導がきっかけで憧れて同大に進学し、在学時には母校を指導した。

 今年、指導に訪れたのはいずれも4年生で、岐阜高OBの学生コーチ岡田源太郎(22)、中継ぎエースの森下祐樹(21)=米子東高出=、外野手で中軸の齋藤來音(21)=静岡高出=の3人。岡田はコーチという立場から、全体を広く見渡し、気になった点を気軽に話しかけアドバイス。「OBとして慶大進学のロールモデルを示すことも役割。部活動を続けながら合格するには戦略が大事」と、勉強の仕方も伝授している。

◇甲子園の鍵握るエース鷲見もアドバイスで飛躍へ

 投手陣を指導する森下は「全体にレベルが高く、強い球が投げられるので楽しみ。下半身、ひじから先の使い方など選手個々にあった具体的なアドバイスを心がけている」と語る。慶大に進学希望のエース鷲見旺宥は「シュートしてホップ率が下がるのが課題だったが、投げた時にグラブを体に近づけるようにすると体が左に流れなくなりシュートしなくなると、わかりやすく言語化してもらった」と憧れの存在の指導にレベルアップを実感する。

◇名門復活の夏へ、技術、メンタルともにアップ

 実際にプレーで手本を示しながら、指導する齋藤は「守備では捕球するまでしっかり見る」「左打者として左投手に対するには体の角度を変えることで、苦手意識がなくなる」など実践的にアドバイス。甲子園出場の経験も生かし「夏はどこまで勢いに乗れるかが大切。絶対、優勝するという気持ちをキープし、仲間とまとまることの大切さも伝えたい」と話していた。

 北川監督は「この時期に大学生の指導を受けられる意義は大きい。一つでも吸収し、成長してほしい」と期待。主将の篠田健太朗は「年齢も近く、気軽に質問でき、最先端の考え方も知ることができる。もっと学びたい」と意欲を燃やす。大きな力を得た名門の後継者たちの挑戦の夏は間もなく始まる。