鶴が庭園へと飛び立つ姿を表現した畳の作品=京都市、光明院
畳のパーツをはめ込んでいく山田憲司さん=京都市、光明院
同じ色の畳でも織り目の方向で濃淡ができる=京都市、光明院
枯山水の庭園へと飛び立つ鶴=京都市、光明院

 従来の形にとらわれないアート性の高い畳の作品を制作する岐阜県羽島市の畳職人、山田憲司さん(39)の個展が7月1日から、京都市の東福寺塔頭・光明院で始まる。枯山水の庭園「波心庭」へと開け放たれた寺院の床に、飛び立つ2羽の鶴を表現した大作が披露される。

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 光を当てる向きによって色の濃淡が変わる畳の特性を生かして制作。枯山水を湧き水に見立て、水を飲みに訪れた鶴をデザインにした「鶴休飲水図」は、熊本県産の天然イ草を織った大小301枚もの畳のパーツを、8畳2間にパズルのようにはめ込んだ。「長方形の畳の床から脱することで、建物の内外の境界が曖昧になるのではと考えた」と作品の意図を語る。

 山田一畳店の5代目で、2018年から幾何学模様や曲線を用いた畳の制作を開始。個展を開催するほか、寺院や旅館などに納入してきた。

 京都の寺院での個展は念願だといい、起案から制作に1年をかけた。外から差し込む光の向きを計算して織り目の向きを考え、畳をぴったりと床に敷き詰めるため1ミリの誤差も許されない緻密さが求められた。個展に向けて設置すると、朝夕の光の差し方で全く違った印象に仕上がった。

 一見して相反するものでも、別の視点からは同じように見える作品で、「一対の鶴で世の中にある対立の構造を表現したかった」と山田さん。「今回の展示でさらに畳の潜在力を感じることができ、今後の制作への大きな一歩になった」と手応えを感じている。

 個展は7月30日まで。初日は午後3時からダンサーの森崎真帆さんと金澤萌美さんが鶴をコンセプトにしたダンスを披露する。拝観料300円。