2年連続リーディングに輝いた佐藤友則騎手。今年はNARグランプリ「全国最優秀勝率騎手」の座を狙う
表彰を受けた昨年の成績優秀者。左からアペリラルビーを管理する栗本陽一調教師、加藤幸保調教師、川嶋弘吉調教師、後藤正義調教師、佐藤友則騎手、向山牧騎手、大橋憲雄厩務員
金網越しのサインに応じるなど、リーディングを祝福するファンと交流する佐藤騎手
歳最優秀馬に選ばれたアペリラルビー。岐阜金賞では向山騎手の騎乗で2着に食い込んだ
歳最優秀馬に選ばれたアペリラルビー。岐阜金賞では向山騎手の騎乗で2着に食い込んだ

2年連続リーディングに輝いた佐藤友則騎手。今年はNARグランプリ「全国最優秀勝率騎手」の座を狙う

 「NARグランプリで、全国最高勝率を狙えるように頑張りたい」。昨年、笠松で140勝を挙げて2年連続リーディングに輝いた佐藤友則騎手(井上孝彦厩舎)が、今年はNAR(地方競馬全国協会)のタイトルを目指して、勝率アップに闘志を燃やしている。

 笠松競馬の2017年「騎手等成績優秀者表彰」が競馬場内で行われ、佐藤騎手やリーディング2位の向山牧騎手(川嶋弘吉厩舎)ら6人と、競走馬1頭の活躍や貢献がたたえられた。厩舎関係では加藤幸保、川嶋弘吉、後藤正義の調教師3人と大橋憲雄厩務員(大橋敬永厩舎)が栄誉を受けた。競走馬では、3歳最優秀馬として栗本陽一厩舎のアペリラルビー(牝4歳)が表彰された。

 地方競馬のトップジョッキーとして、風格も漂い始めた佐藤騎手は3年連続の受賞。「(好成績は)井上先生のおかげで、恩返しをしていきたい。今年も1年間、けがなく無事に騎乗できれば」と感謝の気持ちを忘れない。地方騎手の大きな勲章である「NARグランプリ表彰」を新たなターゲットに、「全国の最高勝率やフェアプレイ賞などを目指したい」と今年の目標をでっかく掲げた。南関東や園田に比べ、東海地区だけでは騎乗回数が少なく、最多勝利には手が届かないが、最高勝率ならチャンスは十分にある。

表彰を受けた昨年の成績優秀者。左からアペリラルビーを管理する栗本陽一調教師、加藤幸保調教師、川嶋弘吉調教師、後藤正義調教師、佐藤友則騎手、向山牧騎手、大橋憲雄厩務員

 騎乗馬については「(ラブミーチャン記念、ライデンリーダー記念を勝った)チェゴは南関東に移籍したが、(名古屋でら馬スプリント優勝の)ハイジャは調教を開始し、4月か5月には復帰の予定です。長距離戦ではウインター争覇を勝ったハタノリヴィエールが期待馬」とスターホースの復調、飛躍を願っていた。

 表彰式の記念撮影が終わると、ウイナーズサークル前に詰め掛けたファンの視線はリーディング獲得の花形ジョッキーに注がれた。今年はちょっとしたサプライズで、プロレス好きの佐藤騎手らしく「金網越し」でのファンとのミニ交流会になってしまった。祝福のプレゼントを贈られたり、サインを求められたり。佐藤騎手が乗ったレースの当たり馬券なのか、差し出された小さな「お宝」にも、金網から身を乗り出して気前良くサイン。ここまでやってくれるのは、ファンを大切にする佐藤騎手ならでは。次のレース開始まで余裕があったし、遠くから駆け付けた多くのファンのためにも、サインや記念写真などで交流する時間とスペースが、もう少しあってもよかったのでは。

3歳最優秀馬に選ばれたアペリラルビー。岐阜金賞では向山騎手の騎乗で2着に食い込んだ

 向山騎手は5年連続8回目の優秀騎手表彰に輝いた。川嶋調教師との最強コンビで、連対率は昨年も4割を超えて安定感抜群。今年の目標は「重賞をたくさん勝ちたいです」と、まずは古馬となったアペリラルビーで重賞2勝目を狙う。

 そのアペリラルビーは、3歳最優秀馬のタイトルを獲得。16年は対象馬なしで、15年のハイジャ以来2年ぶりの受賞馬となった。向山騎手とのコンビで、昨年5月の園田・のじぎく賞を切れ味鋭い末脚で制覇。笠松からの遠征馬がまさかの1番人気となり、ファンの期待に応えた。牝馬の「グランダム・ジャパン2017」3歳シーズンでも総合5位と活躍。東海3冠レースではドリームズラインに挑み、駿蹄賞4着、東海ダービー6着、岐阜金賞では2着に食い込み、笠松勢の意地を見せた。川崎・ロジータ記念でも6着と健闘した。父トーセンブライトで、母父がサンデーサイレンス。

 今年は全国最高勝率(中央競馬含む)を狙う佐藤騎手だが、ジョッキーの勝率とは「10回乗って何回勝ったか」という数字で、野球の打率みたいなもの。昨年、JRAリーディングのルメール騎手やミルコ・デムーロ騎手でも25%前後。地方競馬では昨年、佐賀の山口勲騎手が219勝を挙げて、勝率31.2%で全国トップ。NARグランプリの最優秀勝率騎手賞を5年連続で受賞した。佐藤騎手は179勝(中央1勝含む)を飾り、勝率19.2%だった。

今年の初勝利を飾った渡辺竜也騎手。NARグランプリ「優秀新人騎手賞」を目指して飛躍の年にしたい

 佐藤騎手の勢いは止まらず、今年も白星を量産。笠松2月前半戦の5日間で14勝を挙げて、2位の筒井勇介騎手を一気に引き離した。勝率は25%で昨年以上の数字。47歳の山口騎手に対して、佐藤騎手は35歳とまだ若く、さらなる成長力も見込める。勝率が3割を超えれば、全国トップの座を狙えるだろう。一昨年には「笠松リーディングを奪取したい」という宣言通りに目標を達成。見た目以上に有言実行タイプのようなので、最高勝率を目指した1年間の戦いぶりに注目していきたい。

 笠松からもう一人、NARグランプリで表彰が期待されるのは渡辺竜也騎手で、「優秀新人騎手賞」の有力候補。デビュー1年目の昨年は38勝を挙げて、受賞ラインの30勝をクリアしていたが、2年目の岩手・鈴木祐騎手が52勝を挙げて優秀新人騎手賞を受賞した。対象者はデビュー2年目までということで、渡辺騎手にはタイトルを狙って飛躍の年にしてほしい。

 ライバルは同じく2年目の兵庫・永井孝典騎手。昨年は33勝を挙げ、今年は早くも7勝と好スタート。インフルエンザで1開催休んだ渡辺騎手は、2月前半戦までに2勝どまり。少々出遅れ気味だが、昨年初勝利を挙げたのが4月末だったことを考えれば焦ることはない。復帰後は「勝利に飢えている」そうで、減量2キロを生かした思い切った騎乗で突っ走り、ファンには馬券も買ってもらえるように、結果をアピールしていきたい。

今年のJRA初GⅠ・フェブラリーS(18日・東京)は、ダート1600メートルでの一戦。アドマイヤドン(安藤勝己騎手)が勝った04年には笠松のミツアキタービン(東川公則騎手)が4着に入る大健闘を見せたレース。コパノリッキー連覇など、ゴールドアリュール産駒がここ10年で4勝、2着2回と相性抜群。今年は4頭が出走し、中京・チャンピオンズC覇者で、フェブラリーS連覇を狙うゴールドドリームがV候補筆頭。4歳大型馬のサンライズノヴァ、名古屋GP制覇のメイショウスミトモ、大井から挑戦する地方馬ララベルが絡めば高配当。

 穴馬候補として注目したいのはキングズガード(寺島良厩舎)で、「どっしり構えて、しまいの切れ味勝負」と陣営。先行するテイエムジンソクやケイティブレイブを差し切れれば、寺島厩舎にとっても「初GⅠ制覇」への夢が広がる。