岐阜県高山市上宝町、高原川の上流の山間地にあります。江戸期から明治初期までは苧生茂村で、その後に旧上宝村の大字(あざ)となりました。

 「苧(お)」の字は昨年12月のこのコーナーで紹介した各務原市の「おがせ池(苧ケ瀬池)」にも用いられており、織物の原料・カラムシ(苧麻(ちょま))の意があります。苧生茂は文字通り「麻が生え、茂る地」という植生が由来とされています。

 「苧生茂」は麻が繁茂しているという意味がありながら、読みは別の作物「おいも」で、さらに「苧」の漢字も「芋(いも)」と似ていて-とイモなのか麻なのか混乱しそうな地名です。

 当地には苧生茂橋があります。近くのバス停は「芋」を用いた「芋生茂橋」です。「いもいも橋」とも読めてしまいますが、なぜ「苧」に「芋」が充てられたかは古い話で定かではないということでした。

(「角川日本地名大辞典」などを参照)

【答え】おいも