岐阜県高山市にあります。地図を眺めていると、不思議なことに気付きました。「黍生」は「きびゅう」と読み、旧高根村にあります。しかし、直線距離で10キロほどしか離れていない隣の旧朝日村には「きびうだに」と読む地名「黍生谷」があるのです。少し離れた地に、同じような地名があるのは珍しいことだと思います。読み方が微妙に違っているのも興味深いですね。

 由来は植物の「キビ」のようです。「黍生谷」の由来は「降雪や残雪で諸穀の苗が生育しない中、キビだけが生い出た」ためだとされています。これは同じく「黍生」にも当てはまるのではないでしょうか。

 「キビ」を冠する地名で最も知られているのは、岡山と広島などにまたがる吉備国(きびのくに)でしょう。こちらの由来もまた、キビと考えられるとのことでした。阿波や小豆など、五穀にちなむ地名は各地にあります。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

【答え】きびゅう