ブラジル・サンパウロ在住の青年がこの春、岐阜県下呂市を訪れました。自分のルーツの源を知るためです。それはある偉大な医者が育った生家跡。この医者がブラジルへ旅だったことで、南米の日系人社会は成長し、青年の一族も大きく運命が変わりました。下呂市の山あいの、川のせせらぎが聞こえる生家跡で青年が言ったのは「ありがとうとオブリガード」。記者が同行しました。※オブリガードはポルトガル語で「ありがとう」です。

 

 児玉・細江・エンヒッケ・新規(しんき)さん(26)。サンパウロで生まれ育ったエンヒッケさんは、ブラジルの難関大を卒業後、金融関係でサイバーセキュリティーの仕事をしています。日本企業に勤める父の仕事の関係で神奈川県に住んでいたこともあります。ブラジル岐阜県人会の若き理事です。

 細江家のルーツは下呂市和佐にあります。この地で生まれ育った故・細江静男さんは1930(昭和5)年、医師としてブラジルに向かいました。移住した日本人を診るためでした。...