「次いつ入荷できるか分からない」とPCR検査の試薬が残り数人分となり、不足を心配する後藤芳章さん=岐阜市中鶉、なかうずらクリニック

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染の有無を判定する抗原検査キットやPCR検査の試薬が全国で不足している。検査の急増に伴うもので、岐阜県内でも同様の事態が発生。本来検査を受けるべき有症者が受けられなくなる可能性がある。今後の入荷見通しがはっきりしない状況に、県内の医療機関や薬局関係者は不安を口にする。

 「本当に困っている」。岐阜市中鶉のなかうずらクリニックの後藤芳章院長(42)は繰り返した。PCR検査の試薬の在庫は1月28日時点で残り数人分となっていた。「どこに注文しても入荷未定で、手に入らない」と、今後の見通しが立たない状況だ。

 このクリニックでは、抗原検査キットは不足に備えて在庫を確保できている。しかし、この先を見越し、感染に不安を感じる県内在住者を対象とした無料検査を1日10件に減らし、予約制に切り替えた。「次またいつ入荷できるのか」と語った。

 一般向けの販売や無料検査を行う薬局でも不足が目立つ。31日午後、岐阜市内にある薬局チェーンを13店舗訪れたところ、「抗原検査キットの販売は終了しました」と張り紙する店舗や無料検査をPCR検査のみ実施する店舗があった。在庫がある店舗でも「残りは少ない。次はいつ買えるか分からない」と店員が説明した。

 感染急拡大に伴い、県内の実施検査数も増加している。県によると、無料検査を除く検査数(31日時点の速報値)は、年明けに1日数百件ほどで推移していたが、1月8~10日の3連休以降に2千件(無料検査は除く)を超える日が続き、1日で4500件以上に上る日もある。

 「医療機関では抗原検査キットが不足している」と話すのは、県医師会常務理事の磯貝光治さん(54)。県内では今月中旬ごろから不足し始め、一部で検査を希望する患者を他の医療機関に回さざるを得ない状況も起きているという。

 こうした事態を受け、古田肇知事は28日の全国知事会のウェブ会議で「卸業者に対して医療機関向けに優先して納品してほしいと強く要請している」と述べた。