“息子たち”とつかんだ待望の頂点-。27日の第106回全国高校野球選手権岐阜大会決勝で、9年ぶり4度目の優勝を果たした岐阜城北。ノーシードながら並み居る強豪を次々と破り、頂点に上りつめた。秋田和哉監督は目を潤ませて「こんな成長したチームはこれまでになかった」と喜びをかみしめた。
秋田監督には4人の息子がおり、いずれも高校時代は球児として甲子園出場を目指した。次男と三男は県外の強豪校に進学。長男の千一郎さんは、秋田監督が当時率いる市岐阜商に進学し、3年の夏は県ベスト8。四男の和佳さんは岐阜城北に進んだが、高校最後の年となった昨年は4回戦で敗れた。
息子との甲子園出場はかなわなかったが、今夏は「息子同然」と語る深い信頼関係で結ばれたナインが躍動し、甲子園切符をつかんだ。「大会期間中は試合を重ねるごとに、練習するごとに伸びてくれた」と秋田監督。技術面だけでなく精神面の成熟も見つめ続け、「一つ一つのプレーに一喜一憂しなくなった」と“息子たち”の成長を喜ぶ。
選手も父親のように慕っている。「秋田先生は主体性を大事にしてくれる。僕たちを信頼してくれている証拠」と富田舜士主将。ピンチでマウンドに集まっても、ナインはみな笑顔。伸び伸びプレーで勝利を重ねるなど、富田主将は「自分たちで考えて行動することができている」と自らの成長を実感する。
市岐阜商の監督時代には2度甲子園に出場したが、2020年に就任した岐阜城北では初めて。富田主将が「甲子園でも秋田先生を信じてやりたい」と話せば、秋田監督も「選手を大舞台で躍動させたい」と力を込める。父子のような固い絆で結ばれた「チーム岐阜城北」が、聖地での戦いに臨む。