薬局でもらった無料PCR検査の問い合わせカードを見る70代女性

 新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置が延長され、オミクロン株の猛威で「第6波」が続く。岐阜県の70代女性は1月下旬に感染した。自身は心臓に疾患があり、さらに高校3年生の孫は受験生で大学入試の真っただ中。「同居する家族に感染が広がるのが怖かった」と、当時の心境を本紙に語った。

 女性は、50代長男と孫の3人家族。始まりは1月25日。商業施設に勤める長男が発熱した。病院でPCR検査を受けて陽性と判明。濃厚接触者となった女性と孫については、保健所から「今後のことは連絡を待って」とだけ言われた。

 女性は「自分も既に感染しているのでは」と心配になり26日、無料PCR検査を受けられる薬局に行き、検査キットをもらってきた。容器に唾液を入れ、27日にキットを提出しようとしたが、「外出は控えてほしい」と保健所に言われ、とりやめた。長男は保健所を介して、宿泊療養施設のホテルに移った。

 女性と孫は28日、保健所でPCR検査を受けた。孫は保健所の車で送迎してもらい、女性と別々に受けた。「受験生なので配慮してもらえたのだろう」

 29日からは、女性も孫も感染の疑いがあるため外出が一切できなくなった。女性はこの日の夕方、38・3度の発熱、のどの痛み、鼻水の症状が出た。保健所の指導で家にあった市販の風邪薬を服用。水道水を飲むと「味が明らかにおかしい」と感じた。午後10時ごろ保健所から連絡があり、女性が陽性、孫は陰性だった。

 心筋梗塞の手術を2度受け、通院中の女性は「重症化したらどうしよう。コロナが孫にうつったら受験できなくなってしまう」と、ショックを受けた。実際、外出できなかった期間に孫は、入試の一つを見送ることになった。「息子も自分も2回のワクチン接種を済ませていたのに意味がなかったのか」と落ち込んだ。

 家の中ではずっとマスクを着用、孫とは対面せず過ごした。自分が作った食事は孫に出せないため、普段ほとんど料理をしない孫に作ってもらい、風呂は女性が孫の後に入るようにした。

 30日に再び38・5度の発熱。食料が少なくなったため、近所に住む娘に電話してパンや果物を届けてもらった。市販薬が効いたのか、夜はよく眠れた。

 31日、高齢で基礎疾患があるため保健所から入院を勧められた。悩んだが、「孫を一人にできない」という思いと、症状が落ち着いてきたこともあって家にとどまった。2月1日に平熱になり、3日に保健所から「自宅療養を終えてよい」と許しを得た。長男の陽性判明から10日。長男や自分の病状はそれほど悪化せず後遺症もなかったが、コロナに振り回された日々だった。

 女性の家族は現在、普段通りの生活に戻っている。女性は「どれだけ気を付けていても感染することはある。自分たちにできることは結局、ワクチン接種をして消毒に努めることしかない」と話している。