2024年秋に全線開通90周年を迎えたJR高山線。沿線では多くのイベントが行われました。30年前の全線開通60周年、1994年には、高山駅―飛騨古川駅間を蒸気機関車(SL)が走りました。そのときの機関車は、京都から借りてきたC56形160号機。1990年に樽見鉄道でも走行経験がある機関車です。
高山線が開業したころに美濃太田機関区(美濃加茂市)に所属していた、明治生まれのいわゆる「古典蒸気機関車」1070形1080号機と合わせ、京都鉄道博物館で展示されています。

インバウンド(訪日客)で混み合う秋の京都駅。東海道線から山陰線に乗り換え、一駅目の梅小路京都西駅へ。歩いて数分で京都鉄道博物館に着きます。
蒸気機関車の大半は、扇形庫に展示されています。車両を回転させて方向を変える転車台を中心に扇形に広がる車庫。旧国鉄の蒸気機関車がいた機関区そのものです。今も、一角は現役の車両基地として機能しています。
訪れた日、C56形160号機は、来館客を乗せる「SLスチーム号」の先頭に立っていました。同館内を走ることができる蒸気機関車は数台あって、交代で敷地内の線路を往復しています。

C56形160号機は1939(昭和14)年製造。C56形は、旧国鉄の蒸気機関車としては小型軽量な一方、ボイラーなどとは別に石炭や水を積む炭水車・テンダーを付けていて、ある程度長い距離を走ることができるようになっています。
京都鉄道博物館の前身となる梅小路蒸気機関車館に収蔵後も、営業列車として走ることができる状態を保っていました。全国へ出張する機会も数多く、高山線や樽見鉄道での走行もその一環でした。
近年は山口県と島根県を結ぶ山口線の「SLやまぐち」号や、滋賀県内の北陸線を走った「SL北びわこ」号で使われていました。2018年に営業列車からは引退。...