岐阜県と隣接する愛知県犬山市。博物館明治村で明治時代の蒸気機関車が客車を引っ張って走っています。明治村の蒸気機関車12号は、150年前にイギリスから輸入された、日本の鉄道最初期の機関車です。明治村での蒸気機関車の運行が始まってからも50年。歴史の生き証人とも言える機関車は、大切に守られてきました。
明治村で動く蒸気機関車は12号と9号の2両。およそ800メートルを5分ほどで走ります。現在は、12号だけが走っています。12月15日までの期間限定で「23」の番号を掲げています。
日本で初めての鉄道が東京・新橋駅と横浜駅の間で開業したのは1872(明治5)年10月14日。現在の「鉄道の日」です。開業時の新橋駅はのちに貨物駅の汐留駅となり、いまは再開発されて高層ビルが建ち並んでいます。開業時の横浜駅は、現在の桜木町駅です。
蒸気機関車12号は鉄道開業から2年後の1874年、イギリスから輸入され、この区間を走りました。輸入当初の番号は「23」。1909(明治42)年に「165」と改番されます。
11(明治44)年に名鉄尾西線の前身となる尾西鉄道へ移籍。このときに12号となりました。12号は名鉄に引き継がれ、57(昭和32)年まで使われて引退。明治村で保存され、74(昭和49)年からは動態保存が始まりました。
150年前の機関車、それも日本の鉄道の最初の開業区間を走ったものが、今もなお動いています。明治初期の鉄道開業時の「生きている」姿の一端が、150年後にも伝わってきます。
明治村で動態保存されているもう1両の蒸気機関車、9号は、12(明治45)年にアメリカで製造されたもの。13(大正2)年から富士身延鉄道(現在のJR身延線)を走りました。その後、製鉄所で使われ、73(昭和48)年に明治村に来ました。2023年7月に、部品単位で分解して修理するオーバーホールのため、静岡県の東海汽缶の工場に運び出されました。
12号は、19年9月から20年7月にかけて同じ工場でオーバーホールを行いました。その後...