林芳正官房長官は23日の記者会見で、石破茂首相が27〜30日にベトナムとフィリピンを訪問すると発表した。ベトナムでは、日本が同志国軍に防衛装備品を供与する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の対象にすると伝達。フィリピンとは軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結への議論開始で一致する見通しだ。中国を念頭に両国と安保協力の深化を図る。米政権の関税措置に関しても意見交換する。

 首相は1月に東南アジアのマレーシアとインドネシアも訪れた。林氏は会見で「東南アジアは戦略的要衝に位置し、関係強化は日本外交の最優先事項の一つだ」と述べた。

 首相はベトナムでファム・ミン・チン首相や最高指導者のトー・ラム共産党書記長と個別に会談。チン氏とは、OSAの活用や経済協力を盛り込んだ成果文書をまとめる方向で調整している。両国の外務・防衛当局間の協議体新設も確認する。

 フィリピンでは、マルコス大統領と物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉入りでも合意し、海上保安機関の合同訓練実施を申し合わせる。