政府がノーネクタイなど軽装を促す「クールビズ」を提唱してから20年。地球温暖化や省エネルギー対策として推奨していた「冷房時28度」の旗を降ろし、猛暑対策優先へと変容した。期間を設けず軽装で勤務できる自治体や企業もある。
温室効果ガスの排出削減目標を定めた京都議定書発効を受け、小泉政権が05年にクールビズを打ち出した。環境省が全国一律で期間を設定。温暖化につながる電力消費を抑えるため冷房時の室温は28度を目安として掲げ、軽装を促した。
官民で取り組む中「28度は不快」と異論が出た時期もあった。季節外れの暑い日が増え、政府による一律の期間設定を21年度に中止。夏の平均気温は23年に過去最高を記録した。
熱中症の危険を考慮し、室温を巡る企業への呼びかけは23年に「柔軟に設定」と変更。今年2月には、中央省庁の温室効果ガス排出削減計画から28度の文言を削除した。
兵庫県姫路市は19年に目安を25度にした。担当者は「快適な環境となり、業務の効率が上がった」と説明。軽装も24年から通年で可能にした。