一戸建てが並ぶオーストラリア・シドニー近郊の住宅街=1日(共同)

 【シドニー共同】オーストラリアで3日に実施される総選挙で、深刻化する住宅不足の解消策が争点の一つになっている。最大都市シドニーの住宅価格は過去5年で3割上昇。原因として留学生や移民の増加に矛先が向くが、専門家は「必要なのは外国人対策ではなく、効率的な土地運用だ」と指摘する。

 シドニー中心部から車で30分ほどの住宅街。平日夜、長屋スタイルの2階建て住宅の競売に十数人が集まっていた。139平方メートルでスタート価格は80万豪ドル(約7500万円)。住宅種別を問わないシドニー都市圏の住宅価格の中央値、約120万豪ドルと比べ、お値打ちの物件だ。競り負けた貿易業ジョン・テリスさん(64)は「予算超えだ。退職を控えローンは無理。政治家は何もせず、ラッキーカントリー(幸運な国)オーストラリアは下り坂さ」と言い放った。

 住宅市場の逼迫を招いたと批判されるのが外国人の増加だ。「留学生を抑え、移民は25%減らす。持ち家という国民の夢を取り戻すのだ」。