記者会見で謝罪する神戸市立医療センター西市民病院の中村一郎病院長(中央)ら=2日午後、神戸市中央区

 神戸市立医療センター西市民病院は2日、患者2人のがんを見落とす医療ミスがあったと発表した。同市の60代と70代の男性で、主治医が腫瘍を詳しく検査せずに経過観察としたり、カルテの記載の確認を怠ったりして、適切な治療を受けられずに死亡。病院は過失を認め、遺族に謝罪した。

 病院によると60代男性は2021年2月、右甲状腺に腫瘍が見つかったが、主治医はがん細胞かどうか検査で特定しないまま、手術の提案もせずに経過観察とした。24年9月、別の病気で再受診して甲状腺がんだと判明。既に末期で、手術や抗がん剤治療ができないまま10月に死亡した。

 調査した病院は、完治の可能性を失ったと結論づけた。

 中村一郎病院長は「深く反省して再発予防を講じ、より安全で質の高い医療の提供に努めたい」とした。