世界自然遺産に登録された「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部の森に自生する多年草が、沖縄固有の新種だとする分析結果を、東北大や琉球大などが国際専門誌に発表した。チームは「ヤンバルカラマツ」と命名し、個体数が50株以下と極めて少なく、生育環境保全が急務としている。
この植物は、滝が流れ落ちるそばの壁面に自生し高さは約20センチ、小さな白い花を付ける。1997年に琉球大の研究者が発見し、国内各地やユーラシア大陸に広く分布するキンポウゲ科の多年草「アキカラマツ」の一種だと考えられてきた。
チームはほかのアキカラマツとは育つ環境が異なることに着目。雄しべの一部の形、遺伝子解析から系統的に離れた別の種だと結論付けた。似た環境で育つ台湾固有のタカサゴカラマツと近縁の種と考えられるという。
東北大植物園の伊東拓朗助教は「やんばるの高い生物多様性の形成過程を解明する上で重要な手掛かりになる。近い将来、絶滅する危険性が高く、緊急の保全対応が求められる」と話した。