川崎市川崎区の住宅で一部白骨化した遺体が見つかった事件で、死亡した岡崎彩咲陽さん(20)は失踪直前「自宅付近をうろつかれている」と自ら通報するなど、神奈川県警にストーカー被害を繰り返し訴えていた。遺族は「SOSを出していたのに」と県警の対応を疑問視する。識者も「犯罪を未然に防ぐというストーカー規制法の趣旨を理解していない」と批判。県警内部の情報共有にも問題があった可能性があると話した。
県警は、白井秀征容疑者(27)と連絡を取らないようアドバイスし、パトカーでの警戒も実施。人身安全対策課は3日「必要な措置を講じてきた」と説明した。ただ、ストーカー被害の相談を受けているとの認識が当初なく、規制法に基づく警告は出していなかった。岡崎さんの父鉄也さん(51)は「最初から最後まで『ストーカーで捕まえてくれ』と言っていたのに…」と不信感を強める。
ストーカー問題に取り組むNPO法人「ヒューマニティ」の小早川明子理事は「規制法は行政処分を出すなど、犯罪を未然に防ぐことが目玉だ。この視点を有効に生かしてほしかった」と話す。