日銀が政策金利の維持を決めた3月の金融政策決定会合で、米国の関税強化策に関し「わが国の実体経済にまで大きな悪影響を及ぼす可能性が十分ある」との意見が政策委員から出ていたことが8日、分かった。日銀が同日、会合の議事要旨を公表した。
この委員は、関税による悪影響の可能性が高まった場合は「政策金利を引き上げるタイミングをより慎重に見極めることが必要となる」と強調した。
1月会合で0・25%程度から0・5%程度への利上げを決めた直後だったことから、複数の委員が「政策効果に加え、各国の通商政策などの動きやその影響を丁寧にみていくことが可能な局面にある」との認識を示した。日銀は3月会合で政策金利の維持を決めた。
日銀は直近の5月1日の会合でも米関税政策に端を発した世界経済の減速懸念から、2回連続で金利を据え置いている。
議事要旨で委員は、現在の実質金利が極めて低いとした上で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との考え方を共有した。