東京・上野の東京国立博物館は12日、美人画の名手として人気を集めた浮世絵師喜多川歌麿の代表作で、1981年に競売にかけられて以降行方不明だった「婦人相学十躰 ポッピンを吹く娘」が約40年ぶりに見つかったと発表した。同じ版木を用いたものの中では初期に刷られたとみられ、保存状態も良いという。
担当者は「保存状態が良く、クリアな輪郭線と鮮やかな色彩が残り、制作時の雰囲気を伝えている」と話している。
開催中の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」で、20日から6月15日まで展示される。
「ポッピンを吹く娘」はガラス細工のおもちゃで遊ぶ町娘を描いた作品。江戸の出版人・蔦屋重三郎が手がけ、女性のしぐさをスナップショットのように切り取ったシリーズ「婦人相学十躰」の一作として出版された。同シリーズは後に「婦女人相十品」と改称されたが、「十躰」の「ポッピン―」は、他に米ホノルル美術館が所蔵する1作のみが知られていた。
81年にパリのオークションに出品されて以降、行方が分からなくなっていた。