光に反応する薬剤を使ってがんを治療する「光免疫療法」を巡り、日本頭頸部外科学会は12日、学会の認定施設ではない医療機関がこの治療の提供をうたっていると注意喚起する文書をホームページで公開した。国が承認している頭頸部がん以外の病気では「有効性、安全性は確立されていない」と指摘し、認定施設での受診を呼びかけた。

 光免疫療法は、がん細胞だけに結合する抗体と、特定の波長の光に反応して活性化する物質をつなげた薬剤を患者に投与し、その後レーザー光を照射してがん細胞だけを破壊する治療。2020年に、手術で切除できない再発した頭頸部がんを対象に薬事承認され、保険診療で治療が受けられる。

 学会は実施施設の要件を設け、少なくとも約120カ所の医療機関を認定している。だが、これ以外の医療機関で、対象外のがん患者も自由診療で治療を受けられるなどと宣伝している例があるという。

 光免疫療法の薬と光照射機器を販売する楽天メディカルによると、認定外の施設では、承認されたものとは異なる薬や機器が使われているとみられる。