【香港共同】香港政府は12日、香港国家安全維持法(国安法)に基づき設置された中国政府の出先機関、国家安全維持公署が「管轄権」を行使して事件を捜査する上での細則などを定めた条文案を立法会(議会)に提出した。捜査を円滑に進める狙いがある。香港で民主派はほぼ壊滅状態だが、同公署が動きやすくなることで、さらに活動の範囲が狭まりそうだ。
昨年3月に施行されたスパイ活動などの防止を目的とする国家安全条例に付属条文を追加する形で法制化する。条例施行後、政府が条文追加を議会に求めるのは初めて。これまで同公署が管轄権を行使した例はない。
条文案では同公署の捜査を妨害することが罪になるほか、公務員は要請があれば同公署に必ず協力しなければならないとの内容が含まれている。
国安法は、国家安全に関する犯罪が「外国の介入という複雑な状況に関わる」といった特定の状況では同公署が管轄権を直接行使すると規定。香港で立件や捜査を担い、容疑者を拘束して中国本土に送って裁判にかけることができる。